上司のパワーハラスメントに対する慰謝料請求事件(労働者側の労働審判)
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相談前の状況
IT企業に正社員として勤務していた依頼者は、直属の上司から約1年間にわたり、業務の失敗を理由に「あなたは無能だ」「給料泥棒」といった人格を否定するような暴言を日常的に受け続けていました。
依頼者は精神的に追い詰められ、心身の不調により休職を余儀なくされました。会社の人事部門に相談しても、上司への注意指導が行われるに留まり、根本的なハラスメント行為は改善されませんでした。結果として、依頼者は会社にこれ以上留まることは困難と判断し、退職を検討するとともに、会社や加害者に対する法的責任追及を決意し、当職にご相談されました。
相談後の対応・結果
当職がご依頼を受任後、直ちに会社とハラスメント行為を行った上司個人に対し、ハラスメント行為の事実認定と損害賠償を求める内容証明郵便を送付しました。これにより、事態の深刻さと、当職が毅然とした法的措置を講じる意思があることを明確に示しました。
しかし、会社側がハラスメントの事実を一部認めず、誠実な対応が見られなかったため、迅速かつ柔軟な解決を図るため労働審判の申立てに移行しました。
証拠の戦略的な選定と立証:依頼者様が収集されていた上司からのメール、業務日報、自身の体調に関するカルテなどの資料を精査し、証拠として有効なものを厳選しました 。特に、人格否定発言(「あなたは無能」等)については、陳述書を主軸としつつ、客観的な証拠では事実認定が困難な部分は、かえって主張を弱めないよう戦略的に証拠から外す判断も行いました。
和解の成立:労働審判の第2回期日において、裁判所からハラスメントの事実を強く指摘され、会社側が態度を軟化させました。その結果、依頼者が被った精神的苦痛に対する解決金として、270万円(内訳:慰謝料、未払い賃金等)を獲得する内容で和解が成立しました。
労働審判を利用したことで、訴訟に比べ大幅に短い約4ヶ月という期間で最終的な解決に至り、依頼者様は精神的苦痛から解放され、新たな生活をスタートすることができました。
弁護士のコメント
本件は、上司の不適切な言動が長期にわたり、依頼者様の健康を損ねた悪質なハラスメント事案でした。
ハラスメント事件の解決において最も重要なのは、「証拠の質と量」です。本件でも、依頼者様が日々の状況を詳細に記録し、証拠となるメールやカルテ等を保存されていたことが、最終的な主張・立証の基盤となりました。私たちは、これらの証拠を最大限に活かしつつ、事実認定を確実に得るために、どの証拠を採用し、どのように主張を組み立てるか、訴訟を見据えた戦略的な判断を常に行いました。
労働審判は、非公開で迅速に解決を図れるため、依頼者様の精神的な負担を最小限に抑えつつ、適切な賠償を得るのに最適な手続きでした。同様の被害に遭われている方は、一人で悩んだり、感情的な交渉に陥ったりする前に、ぜひ弁護士に早期にご相談されることをお勧めします。適切な法的手続きを選択し、証拠を戦略的に整理することで、早期かつ有利な解決が可能です。
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