
2025年2月22日
不当解雇
休職は何ヶ月でクビになる?休職期間満了や繰り返しでの解雇と対処法
休職期間や手続をよく確認しないまま、長期にわたり休職を継続して、解雇を言い渡されてしまう事例が多くなっています。今回は、休職が解雇猶予の制度であることを説明したうえで、休職でクビになるケースや対処法を解説します。
2025/05/21
残業代
管理職になったので年収が下がってしまい不満に感じていませんか?
責任も負担も増えるのにお給料が下がってしまったら納得できないのは当然ですよね。
管理職になって年収が下がることがあるのは、残業代が出なくなるためです。
管理職の給与相場について役職ごとに整理すると以下のとおりです。
(参考:厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況 役職別)
管理職で年収が下がっても違法とは限りませんが、管理監督者の条件に該当していない場合には残業代を請求できる可能性があります。
管理職になり年収が下がった場合には、あなた自身が積極的に行動を起こしていく必要があります。
実は、管理職になったのに十分な給料を支払ってもらうことができていない場合には、法的には管理監督者には該当しないとされやすい傾向にあります。
この記事をとおして、管理職で年収が下がってしまった方に知っておいていただきたい知識やノウハウをお伝えしていくことができれば幸いです。
今回は、管理職で年収(給料)が下がるのは違法かを説明したうえで、管理監督者の給与逆転や給与相場について解説していきます。
この記事を読むことでわかることは以下のとおりです。
この記事を読めば、管理職になり年収が下がってしまった場合にどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
管理職になって年収が下がることがあるのは、残業代が出なくなるためです。
本来は、労働者が働くことができるのは、1日に8時間、1週間に40時間までとされています。また、週に1日の休日が必要とされています。
そのため、1日8時間、1週40時間を超えて働けば時間外手当が発生しますし、休日に働けば休日手当が発生することになります。
しかし、労働基準法では、管理監督者には、労働時間や休日、休憩に関する規定が適用しないとされています。その結果、管理監督者には時間外手当や休日手当が出ません。
例えば、長時間の残業が恒常化しているような方は、管理職になる前には月に10万円以上の残業代が支給されていたということもあるでしょう。
このような場合には、管理職になって基本給や役職手当が増額したとしても、残業代が支給されなくなる結果、年収が下がってしまうこともあるのです。
以上のように、管理職になると残業代が出なくなるため年収が下がることがあり、これを管理監督者の給与逆転といいます。
管理監督者の給与水準については、明確な決まりがあるわけではありません。
管理監督者には一般労働者と比較して相応の待遇をしなければなりませんが、相応の待遇というのは、労働時間や一般職の給与金額によっても変わってくるためです。
月額40万円の給与をもらっていても、月の労働時間が350時間であれば、1142円となりアルバイト程度の給料になってしまいます。
また、一般職でも年収が1000万円の会社であれば、管理職の年収が1000万円あったとしても、直ちに相応の待遇とはいえないでしょう。
参考までに、管理職について、役職ごとの給与の相場を挙げると以下のとおりです。
(参考:厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況 役職別)
ただし、裁判例には年収891万円でも特に高額であるとは言えないとしたものがあります(大阪地判令2年12月17日労判ジャーナル109号22頁)。
このように、仮に上記の相場よりも大きな給与金額をもらっていたとしても、相応の待遇であるとは限りません。
管理職で、年収が下がっても違法とは限りません。
先ほど見たとおり、もし管理監督者に該当する場合には、残業代を支払わなくてもよいとされているためです。
ただし、管理職であっても、管理監督者の条件を満たしていな方に対しては、残業代を支払う必要があります。
管理職であれば当然に管理監督者に該当するというわけではなく、管理監督者に該当するのは管理職の中でも一部のみだからです。
具体的には、管理職が法律上の管理監督者に該当するのは以下の3つの条件をいずれも満たす場合に限られています。
経営者との一体性とは、経営に関与していたり、労務管理をしていたりすることです。
労働時間の裁量とは、出勤日や出勤時間を自分で自由に決められることです。
対価の正当性とは、一般職に比べて相応の待遇がされていることをいいます。
もしも、あなたの年収が管理職になったことによって下がってしまっている場合には、一般職に比べて相応の待遇がされているとは言えない可能性が高いことになります。
つまり、対価の正当性を満たしておらず、管理監督者に該当しない可能性が高いということになります。管理監督者該当しないのであれば残業代が出ないことは違法となります。
もし、あなたが管理監督者に該当しない場合には、あなたはこれまで支払ってもらえていなかった残業代について、3年の時効にかかっていない範囲で遡って請求することができます。
管理職になり年収が下がった場合には、あなた自身が積極的に行動を起こしていく必要があります。
会社側があなたに相応の待遇をしていて管理監督者には該当しないと考えている以上、あなたが行動を起こさなければ状況は変わらないためです。
具体的には、管理職で年収が下がった場合には、以下のような手順により対処していきましょう。
それでは、これらの手順について順番に説明していきます。
管理職で年収が下がった場合の手順の1つ目は、弁護士に相談することです。
管理監督者に該当するかどうかについては法的な判断を伴うため、まずは弁護士に見通しを確認したうえで、助言をもらうべきだからです。
残業代を請求すべきかどうか、費用倒れにならないか、事案に応じた手続や請求のタイミングなど丁寧にアドバイスしてもらえるはずです。
ただし、この分野については専門性が高いため、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働問題に注力していて、管理職の残業代問題に実績のある弁護士を探すといいでしょう。
管理職で年収が下がった場合の手順の2つ目は、通知書を送付することです。
残業代には3年の時効があり、給料日から3年が経過した部分から消滅時効が完成していきます。
これに対して、残業代を請求する旨の通知書を送付することで、催告として、6ヶ月間、時効の完成が猶予されることになります。
この間に正確な未払い残業代を計算したり、交渉をしたりすることになります。
また、不足している証拠等があれば、併せて開示するように求めていくことになります。
管理職で年収が下がった場合の手順の3つ目は、交渉をすることです。
会社側に通知書を送付すると、通常、2~3週間で回答があります。
会社側の主張が明らかになれば争点も見えてきますので、話し合いにより折り合いをつけることが可能かどうか協議することになります。
話し合いにより示談することができれば、少ない負担と労力で良い解決をすることができる可能性があります。
管理職で年収が下がった場合の手順の4つ目は、労働審判・訴訟を提起することです。
話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討することになります。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きです。調停が成立しない場合には、労働審判委員会が審判を下します。
審判には雇用主側も労働者側も異議を出すことができ、異議が出た場合には通常の訴訟に移行することになります。
早期に実態に即した解決をすることが期待できる手続きです。
訴訟は、期日の回数の制限などはとくにありません。1か月に一回程度の頻度で、裁判所の指揮に応じながら、交互に主張を繰り返していきます。解決まで1年以上を要することもあります。
管理職の残業代請求に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます。
初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。
どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。
以上のとおり、今回は、管理職で年収(給料)が下がるのは違法かを説明したうえで、管理監督者の給与逆転や給与相場について解説しました。
この記事の要点を簡単に整理すると以下のとおりです。
この記事が管理職になったので年収が下がってしまい不満に感じている労働者の方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士に相談する
籾山善臣
リバティ・ベル法律事務所
神奈川県横浜市中区尾上町1丁目4番地1関内STビル11F
鈴木晶
横浜クレヨン法律事務所
神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-21-1ダイヤビル303
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