
2025年5月2日
法律一般
法律の条・項・号の読み方や書き方、見分け方|条文に1項は書かない?
法律については、条を細分化したものが項、更に項を細分化したものが号となります。読み方は、「じょう、こう、ごう」です。今回は、法律の条・項・号の読み方や書き方、見分け方を解説していきます。
2025/12/11
法律一般


民法上の錯誤とは何かを知りたいと悩んでいませんか?
錯誤と言われても、難しくてあまりイメージが持てない方も多いかもしれません。
錯誤とは、勘違いや思い違いのことです。
民法上の錯誤には、表示の錯誤と動機の錯誤の2種類があります。
錯誤があると、いくつかの要件を満たすことで、契約などの法律行為を取り消すことができます。
裁判でも錯誤が争点となることがあり、古くから判例が蓄積されてきています。
刑法上でも錯誤という言葉が用いられることがありますが、民法上の錯誤とは少し違った意味で用いられます。
実は、民法を学んだことがある方なら弁護士に限らず誰でも一度は「錯誤」という言葉を聞くことになります。
民法総則の基本的な知識として出てくる制度ですが、奥が深く実務上でも争いとなることがあります。
近年では、民法改正により、錯誤無効から、錯誤取り消しへの変更もされました。
この記事をとおして、民法上の錯誤について、法律を学んだことがない人でも、分かりやすいように説明していくことができれば幸いです。
今回は、錯誤とは何かを説明したうえで、民法上の錯誤取消の意味・要件・具体例をわかりやすく解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、民法上の錯誤とはどのような制度なのかがよくわかるはずです。
目次

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錯誤とは、勘違いや思い違いのことです。
わかりやすく言うと、本人が正しいと思っていた内容と、実際の内容にズレがある状態を指す点にあります。
読み方は、「さくご」です。
契約などの意思表示は、正しい内容を理解したうえで行われることが前提とされるため、重大な勘違いがあると、その意思表示は法的に問題が生じることがあります。
民法では、このような勘違いによってされた意思表示について「錯誤による取消し」という制度を用意しています。
例えば、売買契約で商品をまったく違う種類のものだと思い込んで契約したケースや、戸数や金額を誤解してしまっていたケースなどが挙げられます。
このように、錯誤は日常的な場面でも起こりやすい問題です。
以上のように、錯誤とは「本人の重大な勘違い」によって意思表示がされた場合に問題となる制度であり、民法の基本的なルールの1つです。
ここからは、錯誤の種類や要件、効果についてさらに詳しく見ていきます。
民法上の錯誤には、大きく分けて2つの種類があります。
どの種類に当たるかによって、取り消しができるかどうかの判断が変わるため、内容を正しく理解することが大切です。
種類ごとに特徴が違うことを知らないまま判断してしまうと、自分の勘違いが法律上どのように扱われるのか分からなくなり、不安が大きくなってしまうからです。
例えば、錯誤には「表示の錯誤」と「動機の錯誤」の2つがあります。

それでは、民法上の錯誤の種類について順番に見ていきましょう。
表示の錯誤とは、実際の意思と、外に向けて示した意思表示の内容に食い違いがある場合のことです。
このズレがあると、自分が意図した内容と違う契約が成立してしまうおそれがあるため、法的に取り消しを認める必要があります。
例えば、本当は〇〇円のつもりだったのに全く違う金額を入力してしまったり、違う商品名を伝えてしまったりしたケースがあります。
これは、外に示した内容が正しい意思と一致していないため、表示の錯誤に当たります。
このように、表示の錯誤は「意思と表示のミスマッチ」が本質であり、この食い違いが重大なものであれば取り消しが認められます。
動機の錯誤とは、自分が契約をする理由となった動機と、実際の事情が食い違っている場合のことです。
契約の背景となる思い込みが誤っていると、意思決定そのものが歪んでしまうため、一定の条件を満たすと取り消しが認められます。
例えば、「特定の性能があると思って購入しようとした」など、判断の前提となる思い込みが誤っていたケースです。
ただし、動機の錯誤が取り消しの対象になるのは、その誤った動機を相手に伝えており、かつ、それが契約判断に影響する重要な内容である場合に限られます。
動機の錯誤では、「動機と真実のズレ」が中心であり、その食い違いを相手に示していたかどうかが重要なポイントとなります。
錯誤によって契約を取り消すためには、民法が定める要件を満たす必要があります。
要件がそろっていないと、ただの勘違いとして扱われてしまい、法律上の保護を受けることはできません。
要件を理解しておくことで、自分の間違いが取消しの対象になるのか判断しやすくなります。
例えば、錯誤取消の要件としては以下の4つがあります。
それでは、錯誤取消の要件について順番に見ていきましょう。
錯誤取消が認められるためには、まず 錯誤に基づいて意思表示が行われていることが必要です。
勘違いがなければ意思表示は違う内容になっていたといえる場合、錯誤による意思表示と評価されます。
具体的には、第2章で見た、「表示の錯誤」又は「動機の錯誤」のいずれかがあることによって、意思表示をしたことが必要となります。
錯誤取消が認められるためには、錯誤が法律行為の目的や取引上の社会通念に照らして重要な内容であることが必要です。
目的や社会通念に照らして些細な勘違いであれば、取り消しまで認める必要がないためです。
例えば、1000円で買うつもりであったのに間違って、1万円で買うと言ってしまったら、それは重要な錯誤となりやすいでしょう。
一方で、商品の発送日などの勘違いに過ぎない場合には、誕生日やクリスマスなどの特別な日でない限り、重要な錯誤とまでは認められないこともあるでしょう。
動機の錯誤を理由に取り消すためには、その動機が法律行為の基礎として相手に表示されていたことが必要です。
表示がなければ、相手方がその動機を前提に契約内容を判断したとはいえず、保護の対象にはできないという考え方です。
例えば、「特定の用途に向いていると思って購入する」などの動機を事前に相手へ説明していたケースがあります。
このように動機が相手に伝わっていれば、その前提が誤っていた場合に動機の錯誤が問題となります。
錯誤取消が認められるためには、表意者に重大な過失がないことも必要とされています。
自分の大きな不注意で誤りを招いた場合まで取り消しを認めると、取引の安全が損なわれてしまうためです。
例えば、明らかに確認すべき書面を全く読まなかったり、容易に気づくことができるような誤解をしていたりした場合です。
ただし、例外として、以下のような場合には、重大な過失があっても錯誤取り消しをすることができます。
錯誤取消が認められると、その契約は最初から無かったものとして扱われることになります。
勘違いに基づいて契約が成立してしまった場合、そのまま契約を続けると当事者に大きな不利益が生じてしまうため、法律が取り消しの制度を用意しているからです。
民法では、錯誤に基づく意思表示を取り消すことができると定めており、取り消された意思表示は当初にさかのぼって無効となります。
これにより、すでにお金を支払ったり、物を受け取ったりしている場合には、原状回復として元の状態に戻す必要があります。
例えば、不動産の売買契約が錯誤によって取り消された場合には、買主は不動産を返し、売主は受け取った代金を返すといった対応が求められます。
ただし、契約に関わった第三者が、錯誤について善意かつ無過失で権利を取得した場合には、その第三者に対して錯誤取消の効果を主張することができません。
錯誤のことを知らず、しかも注意を払っても知り得なかった第三者を保護し、社会全体の取引の安全を確保するための仕組みです。
以上のように、錯誤取消は契約をさかのぼって無効にする強い効果を持つ一方で、取引の安全を守るための第三者保護が図られています。
民法上の錯誤の判例については、これまで多く蓄積されています。
これらの錯誤の判例のうち重要なものを4つ厳選してご紹介いたします。
例えば、民法上の錯誤の重要判例を4つ整理すると以下のとおりです。

それでは、これらの判例について順番に説明していきます。
【事案】
家屋の買主は、現居住者と同居できることを動機として不動産売買契約を結びました。
しかし、現居住者の承諾が得られなかったため、買主が動機の錯誤を主張し、売買代金の返還を求めた事件です。
【結論】
錯誤無効の主張は認められませんでした。
【理由】
意思表示の動機に関する錯誤は、その動機が相手方に表示されなければ、法律行為の要素の錯誤とは言えません。
本件において、買主は現居住者の同居承諾を得るという動機を売主に対し表示していませんでした。
動機が表示されなかったため、要素の錯誤を理由とする契約の無効は成立しないと判断されました。
【事案】
売主は、買主の代金支払いの意思や能力に関する錯誤に基づき、数千万円の土地を売却しました。
売主は錯誤による契約の無効を主張し、買主から担保権を設定された善意の第三者に対し、登記の抹消を請求した事件です。
【結論】
錯誤無効の主張は認められませんでした。
【理由】
売主の意思表示は、買主の支払能力に関する要素の錯誤があるとされました。
しかし、売主は高価な不動産取引において、買主の調査や通常の取引方法を怠り、重過失があると認定されました。
そのため、錯誤無効の主張は認められませんでした。
【事案】
銀行の手形貸付契約で、連帯保証人は、不動産に根抵当権が設定されると信じて保証しました。
しかし、その設定契約は無効であり、連帯保証人はこれを要素の錯誤として契約の無効を主張しました。
【結論】
錯誤無効の主張は認められませんでした。
【理由】
連帯保証人の錯誤は重大な過失によるものです。
被控訴人は根抵当権設定につき調査を怠りました。登記申請委任状の印影の偽造も容易に判別できたのに看過しました。
これらの事実から重大な過失が認められ、錯誤による無効主張は認められませんでした。
【事案】
パチンコ店営業用地として土地が売買されましたが、買主は契約前に現地調査を怠り、近隣の中学校の存在に気づきませんでした。
使用目的は明示されましたが、学校の承諾が得られず営業許可が不可能となりました。
買主は錯誤による契約無効を主張しました。
【結論】
錯誤無効の主張は認められませんでした。
【理由】
買主には、パチンコ店営業が可能であるという、表示された動機の錯誤が認められています。
しかし、契約前に現地調査を怠り、容易に発見できた中学校の存在に気づきませんでした。
この調査の懈怠は、錯誤につき重大な過失と判断されました。重大な過失があるため、錯誤による契約無効の主張は認められません。
民法上の錯誤と刑法上の錯誤は、同じ「錯誤」という言葉を使っていても意味も役割も大きく異なります。
民法は、意思表示の勘違い(表示の錯誤・動機の錯誤)が契約の本心とずれてしまうことを問題とし、取引の安全を守るために錯誤取消を認めています。
一方で刑法は、犯罪事実や違法性の認識の誤り(事実の錯誤・法律の錯誤)があると「故意があったかどうか」に影響し、処罰の可否に直結するという特徴があります。
例えば、刑法には「事実の錯誤」と「法律の錯誤」という2つの分類があります。

それでは、これらについて順番に説明していきます。
刑法上の事実の錯誤とは、行為者が認識していた事実と実際の事実が食い違っている状態のことです。
このズレがあると、行為が「わざと」だったのかどうかが判断できなくなり、犯罪の成立に直接影響します。
刑法では、故意がなければ原則として犯罪は成立しないため、事実の錯誤は故意を否定し、結果として犯罪不成立につながることがあります。
例えば、「これは他人の物ではない」と思って持ち帰ったり、「人に当たらない」と思って物を投げたりしたケースがあります。
本人の認識していた事実と現実の事実が一致していないため、行為者が本当に「わざとやった」といえるのかが問題となります。
このように、事実の錯誤は故意の有無を判断するうえで非常に重要であり、民法のように契約を取り消す制度とは異なる目的と仕組みを持っています。
刑法上の法律の錯誤とは、自分の行為が法律上違法かどうかについて誤った理解をしている状態のことです。
事実の錯誤とは異なり、違法性の判断を誤っていても原則として故意は否定されません。
法律を知らないことで処罰を免れてしまうと、社会の秩序や安全を守ることが難しくなるためです。
例えば、「この行為は法律で禁止されていないと思っていた」という思い込みがあるケースがあります。
しかし、実際には法律に反していれば、通常は故意犯として扱われ、責任を問われる可能性があります。
もっとも、違法性を避けようと十分に調べたり相談したりしたにもかかわらず理解できなかった特別な事情がある場合には、責任が軽くなる余地が認められることがあります。
このように、法律の錯誤は「違法かどうかの判断」を誤る場合に問題となり、民法が扱う意思表示の勘違いとは全く異なる領域の制度です。
錯誤についてよくある疑問としては、以下の5つがあります。
それでは、これらの疑問を順番に解消していきましょう。
A.錯誤取り消しには、消滅時効があります。
具体的には、以下のいずれかの期間が経過すると時効が成立します。
消滅時効については、以下の記事で詳しく解説しています。
A.錯誤取り消しの抗弁の要件事実は、①意思表示の錯誤であること、②その錯誤が重要なものであること、③動機が相手方に表示されたこと、④取り消しの意思表示をしたことです。
重大な過失の評価根拠事実が再抗弁となり、重大な過失の評価障害事実は再々抗弁です。
A.追認とは、錯誤があったにもかかわらず、後から契約を有効にする意思を示すことをいいます。
追認をした後は、以後、取り消すことができなくなります。
また、あなたに追認するつもりはなかったとしても、一定の事情があった場合には、追認したものとみなされます。これを法定追認と言います。
A.令和2年4月の民法改正で錯誤の扱いは大きく変わり、また判例の考え方などが明文化されたことで分かりやすくなりました。
例えば、改正前は錯誤があれば自動的に契約が無効でしたが、改正後は「取消し」に変わり、本人が取り消さない限り契約はそのまま残ります。また、取消権を使える人も本人や代理人などに限定されました。
さらに、動機の錯誤については「その動機を相手に伝えていた場合に限り取り消せる」と条文で明確にされました。
表意者に重大な過失があると取消しは難しいものの、相手が錯誤に気付いていたり、双方が同じ錯誤に陥っていたりする場合には例外として取消しが認められることも整理されています。
最後に、第三者の保護が明確になりました。善意無過失の第三者が権利を取得した場合には、取り消しの効果を主張できないと法律に書かれ、取引の安全がより確保されました。
A.錯誤と詐欺や強迫は、いずれも「意思表示が本心どおりに行われなかった」という点で共通していますが、その原因や法律上の扱いは大きく異なります。
違いを理解しておくことで、どの場面で取り消しが認められやすいのか判断しやすくなるためです。
例えば、錯誤は自分自身の勘違いが原因で契約してしまう場合を指します。
一方、詐欺は相手にだまされて誤った判断をした場合であり、強迫は脅されて意思がゆがめられた結果として契約してしまう場合です。
また、錯誤には「表意者に重大な過失があると取り消せない」という制限がありますが、詐欺や強迫にはその制限がありません。
詐欺や強迫は相手の不正な行為が原因で意思決定が奪われているため、救済の必要性が高いからです。
このように、錯誤は「本人の勘違い」、詐欺は「相手の欺き」、強迫は「相手の脅し」が原因であり、いずれも取り消しが可能ですが、救済される範囲には明確な違いがあります。
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以上のとおり、今回は、錯誤とは何かを説明したうえで、民法上の錯誤取消の意味・要件・具体例をわかりやすく解説しました。
この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。

まとめ
・錯誤とは、勘違いや思い違いのことです。
・錯誤には「表示の錯誤」と「動機の錯誤」の2つがあります。

・錯誤取消の要件としては以下の4つがあります。
要件1:錯誤に基づく意思表示があること
要件2:錯誤が重要なもの(要素の錯誤)であること
要件3:動機を表示したこと(動機の錯誤の場合のみ)
要件4:重大な過失がないこと
・民法上の錯誤の重要判例を4つ整理すると以下のとおりです。

・刑法には「事実の錯誤」と「法律の錯誤」という2つの分類があります。

この記事が民法上の錯誤とは何かを知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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