2025年5月2日
法律一般
法律の条・項・号の読み方や書き方、見分け方|条文に1項は書かない?
法律については、条を細分化したものが項、更に項を細分化したものが号となります。読み方は、「じょう、こう、ごう」です。今回は、法律の条・項・号の読み方や書き方、見分け方を解説していきます。
2025/11/30
法律一般


清算条項について知りたいと悩んでいませんか?
和解が成立した後は、他に請求できなくなってしまうと言われて不安に感じてしまっている方もいますよね。
清算条項とは、紛争が解決し、お互い合意した内容以外には請求できる権利はないことを確認する条項です。
「甲及び乙は、甲と乙との間には、本合意書に定めるもののほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する」といった書き方をします。
清算条項には、紛争の蒸し返しを防止し、債権債務関係を清算する効力があり、和解をする際には通常入れることになる重要な条項です。
ただし、清算条項には例外があり、その効力が及ばず、再度法的な請求が可能となる場合もありあます。
実際、清算条項の効力が争われた判例も相当数蓄積されてきており、どのような場合にトラブルとなり、裁判所がどのような判断をするのか傾向がわかります。
とくに清算条項が争いとなりやすい類型は、労働事件と離婚事件です。
せっかく和解するのですから、清算条項を入れる際には、再度、紛争となってしまうことがないよう注意しましょう。
実は、典型的な条項だからか、清算条項の重大さを理解せずに押印をしてしまう方が少なからずいます。
この記事をとおして、清算条項の実務上の運用や取り扱いを説明したうえで、裁判例や私の経験を踏まえて注意点を分かりやすく説明していきます。
今回は、清算条項とは何かを説明したうえで、例文や書き方、効力、例外6つを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、自分の権利を守りながら清算条項を活用できるようになるはずです。
目次
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清算条項とは、紛争が解決し、和解条項に記載されていること以外は他に請求できないことを確認するものです。
読み方は、「せいさんじょうこう」です。
和解をする際には、通常、合意書の末尾に清算条項が入れられることになります。
例えば、あなたが300万円の慰謝料を請求していて、100万円を支払っていただくことで、示談が成立したとしましょう。
その際、示談書の末尾には、「本合意書に定めるもののほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する」との記載がされているはずです。
このような条項を記載されていると、あなたは、やはり100万円では不満だと感じたり、他にも弁護士費用を請求したいと考えたりしても、示談後は請求できないことになります。
清算条項は、示談書だけではなく、公正証書や調停、訴訟上の和解でも、末尾に記載されているのが通例です。
このように清算条項は一般的なものではありますが、その効力は非常に強力なので、リスクがないか慎重に検討してから押印しましょう。
清算条項の例文は、以下のとおりです。
とくに何らの限定を入れていないベーシックな型であり、このように何らの限定を付していない場合を包括清算条項と言います。
「本件に関し」と限定を入れるケースでは、以下のように清算条項を記載します。
清算の範囲を「本件」に限定することで、本件に関しない事項は清算の範囲外とし、和解後も引き続き請求することができます。
例えば、働きながらこれまでの未払い残業代を請求するような場合には、残業代以外にも法律関係がありますので、清算の範囲を「本件」に限定しておきます。
ただし、「本件に関し」の意味が不明確となりがちなので、「本件」の意味を明確にするなど工夫した方が良いでしょう。
例えば、合意書の冒頭において、「甲が乙に対し、令和4年12月分から令和7年12月分までの未払い賃金の請求をしている件(以下、「本件」という。)」などの記載をします。
清算の範囲に含まれない内容を明記するケースでは、清算条項に更に以下のような留保を追記することがあります。
「本件に関し」との記載ですと、「本件」の意味を具体的に特定しても、「関し」の意味が不明確となりがちです。
そのため、清算条項に含まれないことを明らかにしておきたい事項などは、清算の範囲に含まないことを明記しておくと安全です。
包括清算の意味を更に強化する場合の例文は、以下のとおりです。
あえて「本件に限らず」との文言を入れておくことで、包括清算であることを明確にするものです。
「本件に限らず」との文言を入れておかないと、和解の経緯や内容によっては、その範囲を限定的に解釈されてしまう余地もあるためです。
合意の当事者以外にも、清算の人的範囲を拡大する際には、以下のような条項が提示されることがあります。
会社に対して、ハラスメントを理由に損害賠償を請求しているような場合には、このように清算の範囲に役員や他の従業員も含めることを検討することになります。
会社と労働者との間で和解した後、労働者が役員や従業員に対して更に損害賠償を請求することがあるためです。
ただし、清算の条項の効力が及ぶのは締結当時者だけなので、厳密に第三者との法律関係も清算するのであれば、その第三者も合意書に押印をする必要があります(裁判では利害関係にとして関与する必要があります)。
そのため、清算条項ではなく、労働者が会社との間で、「役員や従業員に対する請求を放棄すること」や「役員や従業員を訴えないこと」を約束する条項が用いられることの方が多いです。
清算条項の効力は、紛争の解決です。
和解をする際に清算条項を入れておくことで、紛争が解決したことを明確にできます。
具体的には、清算条項の効力としては以下の2つがあります。

それでは、これらの効力について順番に説明していきます。
清算条項の効力の1つ目は、紛争の蒸し返しの防止です。
和解した後、再度、同じ紛争を起こし、請求をすることができなくなります。
例えば、100万円を支払ってもらったが、それでは少ないと感じたので、やはりもっと払ってほしいとして、和解後に200万円を請求するといったことを防止します。
再度、請求をされてしまうのであれば、請求され側も早期の支払いに応じる意味がなくなってしまいます。
清算条項の効力の2つ目は、債権債務関係の清算です。
お互いの法律関係が綺麗になったことを確認することで、紛争が波及することを防ぐものです。
請求する側も請求された側も、お互い、合意書に記載していないことは、もう請求できないし、請求されないことを明確にしておきます。
例えば、弁護士費用は別に請求したいなどとして、後から別の請求が行われることを防ぐことができます。
また、「請求された側」から「請求した側」への請求も制限されることになりますので、請求した側にとってもリスクを回避できます。
清算条項を入れたとしても、和解後に合意書に記載していない請求をすることが認められることがあります。
清算条項といっても、当事者間の合意に過ぎず、無効となる場合もあれば、適用範囲にも限界があるためです。
例えば、清算条項の例外としては、以下の6つがあります。

それでは、これらの例外について順番に説明していきます。
清算条項については、通常、将来新たな事実が発生した事項については適用されません。
和解時点の法律関係を清算する趣旨で合意するのが通常であるためです。
例えば、不貞慰謝料事件で示談が成立した後、再度、不貞行為が行われた場合などが典型例です。
示談書に清算条項が入っていたとしても、新たな不貞行為について、再度、慰謝料を請求できることになります。
和解の時点で通常予測できない紛争の場合には、清算条項の範囲外とされる可能性があります。
清算条項の意味は、当事者の合理的意思が解釈されることになりますが、和解の時点で予測できていなかったのであれば、清算に含めないと解釈することが合理的なことが多いためです。
例えば、交通事故などで、怪我が急激に悪化し再度の手術が必要になった場合、後遺障害が後から発覚した場合などです。
(参考:東京地判平成16年11月18日)
合意が無効となる場合にも、清算条項の効力が否定されることになります。
錯誤や強迫、詐欺により和解した場合には、その合意を取り消すことができ、これにより清算条項についても無効となります。
例えば、離婚の際、不貞相手がいることを隠して、清算条項入りの離婚協議書にサインをさせられてしまったような場合です。
賃金等については、自由な意思で放棄したと言えなければ、清算されません。
雇用主は、労働者に対して、労働基準法上、賃金債権の全額を支払うことが義務付けられていたるためです。
例えば、秘密保持誓約書などの末尾に清算条項が含まれていて、気づかずにサインをしてしまったというようなケースがよくあります。
このような場合には、労働者が賃金債権を本心から放棄したとは言えないので、未払い賃金まで清算されたと判断することは難しいでしょう。
当事者間の合意がある場合には、再度、請求することができます。
当事者が合意しているのであれば、清算条項の効力を否定することも自由であるためです。
清算条項に合意した後も、通常、相手方以外に請求をすることはできます。
清算条項の効力が及ぶのは和解に合意した当事者だけであり、法律関係が清算されるのも当事者だけであるためです。
ただし、あえて当事者以外との法律関係の清算も明記した場合には、相手方以外にも請求できなくなる可能性があります。
清算条項について、判例や裁判例も蓄積してきています。
これらの事例を見ていくことで、どのような場合にトラブルになり、裁判所がどのように判断するのか傾向が見えてきます。
例えば、清算条項の判例や裁判例を厳選して7つ紹介すると以下のとおりです。

それでは、これらについて順番に説明していきます。
【事案】
元夫と元妻が離婚し、元妻は養育費を請求しました。
元夫は、元妻が元夫の兄に電話で子の養育費などを貰うと将来、子に対して言いがかりをつけられるから困ると述べて、これら一切の財産的請求を放棄したと反論しました。
【結論】
扶養に関する権利を放棄したとする元夫の反論は認められませんでした。
【理由】
債権者がその親権に服する子の法定代理人として放棄をなしたとすれば、それは将来の扶養請求権の放棄として無効であるとしました。
仮に債権者が、債務者に対して扶養分担を求める権利を放棄したということでも、その放棄は当事者間における一つの扶養協議としてのみ有効なこともあり得るにとどまります。将来事情が変化すれば、その放棄、すなわち分担義務の免除に関する協議は改められることもあり得るとされました。
そもそも、本件の事案では、債権者が扶養に関する権利を放棄したとする債務者側の主張や疎明方法は、離婚の経緯に照らしても信用できないとされています。
【事案】
機械販売業の西日本総責任者が退職しました。
彼は退職に際し、退職金408万円余がありましたが、「いかなる性質の請求権をも有しないことを確認する」旨が英文で記載された書面に署名しました。
この書面により退職金債権が放棄されたのかが、争われました。
【結論】
退職金債権放棄の意思表示は有効とされました。
【理由】
労働基準法24条の趣旨から、退職金債権の放棄の意思表示を肯定するには、労働者の自由な意思に基づくものであることが明確でなければならないとされました。
本件の事案では、労働者が総責任者であったことや、競合他社への就職、経費疑惑による損害填補の趣旨など、自由な意思に基づく客観的合理的な理由が存在するため、放棄は有効だと判断されました。
【事案】
元夫婦間の離婚後の紛争調整調停が成立しました。
元妻が元夫に対し、調停成立前の貸金返還を請求しました。
元夫は、調停調書の最後に記載された以下の清算条項により、相互に債権債務がないと確認されたため、請求はできないと主張しました。
「当事者双方は、以上をもつて離婚及び共有物に関する紛争の一切を解決したものとし、本条項に定めるほか、その余に債権、債務の存在しないことを確認する」
この清算条項の適用範囲が争われました。
【結論】
元夫の反論は認められず、貸金返還請求は清算されていないとされました。
【理由】
調停の対象は、離婚後における親権者変更及び共有物分割の点に限られていました。
これらの事項を調停調書に記載することで最終的な解決とし、他に何らの債権債務のないことを確認したのが上記清算条項です。
そのため、上記清算条項は、貸金債権に基づく請求には何ら影響を及ぼすものではないとされました。
【事案】
社団法人から解雇の通知をされた労働者が、会社から解決金として給料2.5か月分の支払いを受けることより和解しました。
和解契約の条項の中には、「原告と被告は、本確認書に定める事項以外、本件退職に関し相互に一切の債権債務がないことを確認する」との記載がありました。
その後、労働者が、更に、未払賃金や退職に追い込まれたことによる損害の賠償を請求しました。
労働者の請求が上記の清算条項に反しないか争われた事例です。
【結論】
未払い賃金はなく、退職に追い込まれたことによる損害賠償は清算条項により放棄されているとされました。
【理由】
一般に、和解契約中に、「原告と被告は、本確認書に定める事項以外、本件退職に関し相互に一切の債権債務がないことを確認する」旨の条項を入れる場合には、当事者は、当該紛争に関連する債権が他にあったとしても、それは放棄する趣旨であると解されます。
また、「本件退職に関」する債権債務という場合には、退職自体から生じる債権債務に限らず、退職に至るまでの紛争の過程で発生した債権債務も含まれ、したがってそれも放棄する趣旨であるというのが当事者の通常の意思に合致するとされました。
ただし、退職と直接関係のない債権債務まで当然に放棄する趣旨であるとは解されず、未払賃金債権の存否については、別個に検討が行われています。
【事案】
協議離婚した元夫婦の元妻が、元夫とその不貞相手が婚外子の妊娠を隠していたことを理由に、清算条項を含む離婚協議書の錯誤無効または詐欺取消しを主張しました。
元妻は元夫と不貞相手に対し、不法行為に基づく慰謝料の支払いを求めました。
【結論】
錯誤無効を認め、元妻の元夫らに対する慰謝料請求の一部を認めました。
【理由】
元夫は、継続した不貞関係や婚外子の妊娠の事実を隠しました。
その上で、慰謝料の支払いを免れて再婚を果たすために、清算条項を含む協議離婚書に元妻を署名させたものと認められます。
この清算条項を含む合意は、元妻の要素の錯誤により無効であると判断されました。
よって、元妻の慰謝料請求が相当とされました。
【事案】
臨床検査薬及び臨床検査機器等の販売等を目的とする会社で働いていた労働者が解雇され、労働審判を起こしました。
その労働審判では、解決金として1350万円を支払われることを条件とする調停が成立しました。
そして、調停条項の中には、「申立人と相手方は、申立人と相手方との間には、前件調停の条項に定めるもののほかに、残業代の有無及びその金額を含め何らの債権債務がないことを相互に確認する。」旨の条項が含まれています。
労働者は、同調停の成立後、更に、代表取締役や同会社の従業員に対して、パワーハラスメント等を理由とする損害賠償請求訴訟の提起を行いました。
これに対して、会社は、労働者に対して、上記訴訟の提起が調停に違反して、債務不履行に当たるとして損害賠償請求しました。
【結論】
代表取締役や同会社の従業員への損害賠償請求は清算条項に反しないとされました。
【理由】
清算条項は、会社と労働者との間の債権債務関係が存在しないことを確認する内容となっており、役員及び従業員と労働者との清算が合意されたとする証拠はないとされました。
会社は1350万円を払ったのは、同社の役員及び従業員と被告との間の一切の紛争を解決する趣旨であった旨主張しました。
しかし、1年分の年俸に割増賃金が加えられたものであり、役員及び従業員と労働者との清算が合意された趣旨と解するのは困難とされました。
そのため、会社の主張する事情は、飽くまで会社が解決金の支払いを受け入れた主観的な意図又は動機に過ぎないとされています。
【事案】
タクシー会社が元従業員に対し、会社代表者の暴行映像を外部提供され社会的評価が低下したとして、不法行為に基づく損害賠償を請求しました。
元従業員は、未払賃金に関する別件訴訟で成立した「本件に限らず」という包括的清算条項により、損害賠償請求権は清算済みだと主張しました。
【結論】
会社が起こした損害賠償請求は棄却されました。
【理由】
訴訟上の和解における清算条項は、訴訟代理人たる弁護士が関与しており、文言を厳密に解釈すべきです。
当該条項には「本件に限らず」との文言があるため、別件訴訟の債権債務だけでなく、和解成立時に存在するあらゆる債権債務を清算する趣旨だと解されます。
原告に錯誤はありましたが、弁護士の関与の下で合意した以上、その錯誤には重大な過失があるため、清算条項の効力は有効だと判断されました。
清算条項については、事案別のポイントがあります。
とくに清算条項の効力が後から問題となりやすいのは、離婚や労働トラブルです。
以下では、「不貞慰謝料」、「離婚」、「退職合意書」の清算条項のポイントをそれぞれ説明していきます。
不貞慰謝料の清算条項では、あくまでも当事者間の法律関係しか清算されないこと、及び、示談後の不貞行為までは清算されないことに注意が必要です。
ダブル不倫の事案であれば、当事者間で示談が成立し清算条項を入れていたとしても、それぞれの配偶者間の紛争はまだ残ることになります。
和解が成立し清算条項を入れたので安心と考えていると、再度慰謝料を請求され、驚くことになってしまうでしょう。
離婚の清算条項では、養育費や年金分割についての扱いを理解しておくといいでしょう。
まず、養育費などの請求の放棄については認められにくいことに注意が必要です。
扶養を受ける権利は放棄できず、扶養の分担についても事情の変更とともに協議され得るためです。
また、清算条項が入っているだけであれば、年金分割を放棄したとまでは解されないでしょう。
年金分割は厚生労働大臣に対する公法上の請求であり、配偶者への債権ではないためです。
ただし、年金分割の按分割合を定めるための調停や審判を起こさないとの合意は可能です。
清算条項を入れるだけではなく、このような合意をしていた場合には、年金分割の前提となる按分割合を決めることができず、年金分割ができなくなる可能性があります。
退職合意書の清算条項については、未払賃金・退職金や退職事務手続、他の役員や従業員との法律関係がポイントとなります。
まず、未払賃金や退職金については、清算条項が含まれていても、自由な意思に基づいて放棄したと言えなければ引き続き請求できる可能性があります。
次に、退職後には、離職票や源泉徴収票、退職証明書、雇用保険被保険者証などの退職手続き書類を送付してもらう必要があり、私物などが会社に残っていることもあります。
通常、清算条項が入っていても、会社はこれらについて対応してくれることが多いですが、合意書に含めるか、事前に確認しておいた方がトラブルを防げます。
最後に、清算条項により、他の役員や従業員との法律関係が清算されたかが問題となることがよくあります。
会社側もこの点を意識して清算の人的範囲を広げたり、役員や従業員への請求の放棄を明記したりしてくることが多いので、慎重に確認しましょう。
退職合意書については、以下の記事でも詳しく解説しています。
和解で清算条項を入れる際には、いくつか注意点があります。
清算条項に合意してしまった後だと、取り返しがつかないこともありますので、合意する前の対応が大切です。
例えば、清算条項を入れる際の注意点としては、以下の4つがあります。
それでは、これらの注意点について順番に説明していきます。
清算条項を入れる際には、和解時に想定されている債権債務関係はすべて和解条項に含めておくといいでしょう。
清算条項は「合意書に定めるもののほか」債権債務関係がないものを確認するものなので、合意書に記載した債権債務は清算されないためです。
次に、清算条項が適用される権利や人を明確にしておくといいでしょう。
清算の範囲を限定する際には、「本件に関し」との文言だけでは、解釈が争われる余地があるので、具体的に想定される件については、明確に清算の範囲から除外する旨を記載しましょう。
包括清算とする場合にも、「本件に関し」という文言を入れないだけではなく、「本件に限らず」との文言まで入れておくと、解釈について争いとなるリスクを減らせます。
人的範囲については、基本的に合意した当事者にしか清算が及ばないため、それ以外の者との法律関係も清算したいのであれば、第三者との法律関係も清算することを明記しましょう。
清算条項は、あなたが相手方に対して請求できなくなるだけではなく、相手方もあなたに請求できなくなる条項です。
「債権債務がないことを相互に確認する」ものだからです。
清算条項の範囲を限定しすぎると相手方からあなたが請求を受けるリスクも残ることになります。
そのため、清算条項の範囲は、限定すればいいというわけではないということも大切です。
清算条項を入れる際には、細かい事務的な内容も調印前に確認しておくといいでしょう。
事務的な手続きであり合意後に当然行ってもらえると思っていても、双方の意見が食い違えば清算条項を理由に対応してもらえなくなることもあるためです。
例えば、退職手続き書類の交付、離婚の際に自宅に届いていた郵便物の返還等々について、調印する前に事務手続きの流れを確認しておくとトラブルを避けやすいです。
清算条項について、よくある疑問としては以下の4つがあります。
それでは、これらの疑問について順番に解消していきましょう。
A.清算条項に反して請求を行っても、その請求は裁判所に認めてもらうことができません。
請求権を放棄したものとされるためです。
その他、和解後に訴訟を提起した場合の違約金などが定められていれば、違約金を請求される可能性があります。
違約金が定められていなくても、債務不履行を理由に損害賠償を請求され紛争となることがあります(前掲東京地判平成29年3月7日D1-Law.com判例体系)。
A.清算条項をそのまま英語にすると以下のとおりです。
「Party A and Party B mutually confirm that, except as provided in this agreement, there are no other claims or obligations between them.(訳:当事者 A および当事者 B は、本契約に規定されている場合を除き、両者間にその他の請求権または義務が存在しないことを相互に確認します。)」
A.清算条項を入れないことも可能です。
ただし、相手方が清算条項を入れないと、和解に応じないと言ってくる可能性も高いです。
法律関係が清算されず紛争リスクが残るのであれば和解したくないという方が多いためです。
また、あなた自身も、和解後に相手方から法的な請求をされるリスクが残ります。
A.他の請求については放棄することをより明確にする趣旨と説明されることが多いです。
訴訟上の和解などでは、「原告と被告は、原告と被告との間には、本和解条項に定めるもののほか何らの債権債務がないことを相互に確認する。」との条項とは別に、「原告はその余の請求を放棄する。」との条項が含められる傾向にあります。
裁判所の定型書式になっており実務上の慣行となっていますが、清算条項には、その余の請求を放棄する意味も含まれるので、別に条項を入れる必要はないと感じる方もいるでしょう。
弁護士によっても説明の仕方が異なることが多いですが、その余の請求を放棄するということをより明確にするためという説明が主流です。
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以上のとおり、今回は、清算条項とは何かを説明したうえで、例文や書き方、効力、例外6つを解説しました。
この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。

まとめ
・清算条項とは、紛争が解決し、和解条項に記載されていること以外は他に請求できないことを確認するものです。
・清算条項の例文は、「甲及び乙は、甲と乙との間には、本合意書に定めるもののほか、何らの債権債務がないことを相互に確認する。」となります。
・清算条項の効力としては以下の2つがあります。
効力1:紛争蒸し返しの防止
効力2:債権債務関係の清算
・清算条項の例外としては、以下の6つがあります。
例外1:将来新たな事実が発生した場合
例外2:和解の時点で通常予測できない紛争の場合
例外3:錯誤等で合意が無効となる場合
例外4:賃金等の放棄が自由な意思によらない場合
例外5:当事者間の合意がある場合
例外6:相手方以外に請求する場合
・清算条項の判例や裁判例を厳選して7つ紹介すると以下のとおりです。

・清算条項を入れる際の注意点としては、以下の4つがあります。
注意点1:債権債務関係はすべて和解条項に含めておく
注意点2:清算条項の範囲を明確にしておく
注意点3:清算条項は自分を守る条項にもなる
注意点4:細かい事務的な内容も調印前に確認しておく
この記事が清算条項について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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