
2025年2月22日
不当解雇
休職は何ヶ月でクビになる?休職期間満了や繰り返しでの解雇と対処法
休職期間や手続をよく確認しないまま、長期にわたり休職を継続して、解雇を言い渡されてしまう事例が多くなっています。今回は、休職が解雇猶予の制度であることを説明したうえで、休職でクビになるケースや対処法を解説します。
2025/06/10
不当解雇
会社から解雇されてしまい、バックペイがどのようなものか知りたいと悩んでいませんか?
不当な解雇をされてしまった場合に会社に対してどのような権利を求めていくことができるのかよくわからないという方もいますよね。
バックペイとは、解雇が無効とされた場合に遡って支払われることになる解雇日以降の給料のことをいいます。
バックペイに相場などは存在せず、いつまでしか請求できないという制限もないので、解雇が無効と認められるまで長期間を要すれば金額は高額化していく事になります。
バックペイの計算をするにあたっては、解雇されなければ確実に支払われたであろう金額を基礎にすることになりますが、再就職して中間収入がある場合には6割程度まで減額されてしまうことがあります。
解雇された場合にバックペイを請求したいと考えた場合には、放置せずに速やかに対処していくようにしましょう。時効は3年ですが放置すれば就労の意思等の争点が増え請求が難しくなっていきます。
バックペイは任意に支払われる場合には税金や社会保険料が源泉されることになります。また、バックペイが払われた場合には、仮給付を受けていた失業保険は返還することになります。
実は、解雇が不当な際にはバックペイを請求できる可能性があることを知らず、焦って行動してしまうことによって不利な状況となってしまう労働者が少なくありません。
解雇されてしまい困っている労働者の方々にバックペイについて知っていただくことで、後悔しない対応をしていただければと思います。
今回は、バックペイとは何かを説明したうえで、相場や再就職後の中間収入の計算方法と税金・失業保険の処理について解説していきます。
この記事を読むと以下のことが分かります。
この記事を読み終わったら、適正なバックペイを獲得するにはどうすればいいのかがよく理解できているはずです。
目次
バックペイとは、解雇が無効とされた場合に遡って支払われることになる解雇日以降の給料のことをいいます。
労働者は、不当解雇をされた場合には、会社に対して、労働者としての地位の確認と解雇日以降の給料を請求します。
会社は、労働者を解雇した場合には、解雇日以降の給料を支払ってくれません
もっとも、解雇が不当(無効)であった場合には、あなたは、まだその会社の労働者であったことになりますし、出勤できなかった原因は会社にあることになります。
そのため、解雇が不当(無効)とされた場合には、会社は解雇日に遡って労働者に対して給料を支払わなければいけなくなるのです。これがバックペイです。
バックペイは、不当解雇を争っていく際の労働者の中心的な請求となっていきます。
バックペイに相場などは存在せず、いつまでしか請求できないという制限もありません。
会社のせいで出勤できなかった期間に対応するバックペイを支払わなければいけないためです。
不当解雇のせいで労働者がその会社に出勤できなかった期間については、事案によって変わってきます。
訴訟で不当解雇と認められたような場合には、1~2年かかりますので、1~2年分のバックペイが遡って払われることが多いです。
つまり、解雇が無効と認められるまで長期間を要すれば金額は高額化していく事になるのです。
そのため、バックペイについては、相場のようなものは存在しません。
ただし、判決まで行かずに途中で和解が成立するようなことも少なくなく、その際の解決金の相場はおおよそ以下の水準となっています。
バックペイの計算をするにあたっては、解雇されなければ確実に支払われたであろう金額を基礎にすることになります。
基本給や役職手当、家族手当、住宅手当など固定金額で支給を受けているものについては、通常、バックペイの基礎に含まれます。
これに対して、残業代や実費支給の交通費などは、バックペイの基礎に含まれません。
例えば、毎月、基本給30万円、役職手当5万円、その他、残業代と実費交通費の支給を受けている労働者の方の場合には、35万円のバックペイを請求していくことになります。
また、賞与についても、固定金額で合意している場合などには請求できることがあります。
例えば、年俸制の方で14分割して、夏季と冬季に1ずつ割り振っている場合は認められやすいです。
雇用契約書などに賞与が固定金額で「賞与 6/30 30万円 12/15 30万円」などの記載がある場合も認められやすい傾向にあります。
これに対して、解雇された労働者が再就職して収入を得ている場合(中間収入がある場合)には、得た収入に相当する金額がバックペイの一部から控除されることになります。
ただし、中間収入の控除を行う際に対象となるのは、バックペイのうち平均賃金の6割を超えている部分に限られています。
そのため、解雇期間中の生活を維持するために再就職した場合であっても、引き続き本来のバックペイの6割程度は請求できます。
解雇された場合にバックペイを請求したいと考えた場合には、放置せずに速やかに対処していくようにしましょう。
あなたが何もしなければ会社はバックペイを支払ってくれませんし、解雇から期間が空いてしまうと請求がしにくくなっていくためです。
具体的には、不当に解雇をされた際には、以下の手順でバックペイを請求していきましょう。
バックペイを請求する手順の1つ目は、解雇理由証明書を請求することです。
解雇理由証明書とは、文字通り解雇の理由が記載された証明書です。
雇用主は、労働者からの請求があった場合には、解雇理由証明書を交付する義務があります。
解雇理由証明書を取得することで、解雇が不当かどうかについて見通しを立てやすくなりますし、どのような主張や証拠を準備すればいいのかもわかります。
そのため、バックペイを請求する際には、まずは解雇理由証明書を取得するといいでしょう。
バックペイを請求する手順の2つ目は、解雇が無効であることを指摘することです。
解雇は客観的に合理的な理由がなく社会通念上相当と言えなければ濫用として無効となります。バックペイを請求する前提として、解雇が無効と言える必要があります。
バックペイを請求する際には、早い段階で、会社に対して、解雇が無効である旨の通知を送付するようにしましょう。
何もせずに放置していると、就労の意思を失っていた、解雇を認めていた等の指摘をされることがあり、バックペイを請求することが難しくなっていくためです。
バックペイを請求する手順の3つ目は、示談交渉をすることです。
会社側から回答があったら、話し合いにより折り合いをつけることが可能かどうか協議してみましょう。
示談により解決することができれば、早期に少ない負担と労力で良い解決をできる可能性があります。
バックペイを請求する手順の4つ目は、労働審判や訴訟を提起することです。
話し合いにより解決することが難しい場合には、裁判所を用いた解決を検討することになります。
労働審判は、全三回の期日で調停による解決を目指す手続きです。調停が成立しない場合には、労働審判委員会が審判を下します。
審判には雇用主側も労働者側も異議を出すことができ、異議が出た場合には通常の訴訟に移行することになります。
早期に実態に即した解決をすることが期待できる手続きです。
労働審判については、以下の記事で詳しく解説しています。
訴訟は、期日の回数の制限などはとくにありません。1か月に一回程度の頻度で、裁判所の指揮に応じながら、交互に主張を繰り返していきます。解決まで1年以上を要することもあります。
不当解雇の訴訟については、以下の記事で詳しく解説しています。
バックペイは、会社から任意に支払われる場合には税金や社会保険料が源泉されることになります。
バックペイと言っても、解雇日以降に支払うべきであったお給料が遡って支払われているにすぎないので、税金や社会保険料は負担する必要があるのです。
例えば、会社は、裁判所にバックペイの支払いを命じられた場合には、社労士に相談して、税金と社会保険料を計算して控除した金額を振り込んでくるのが通常です。
ただし、強制執行の際には源泉前の額面どおりの金額で会社の財産を差し押さえることができます。
源泉前の金額で差し押さえが行われ、会社が後日、税金や社会保険料の労働者負担分を支払った場合には、労働者に対して求償を行うことになります。
バックペイが払われた場合には、仮給付を受けていた失業保険は返還することになります。
不当に解雇をされた際には、労働者は失業保険を仮給付と言う手続により受給することになります。
失業保険は失業した場合に初めてもらえるものですが、解雇が不当である場合には失業していないことになりますので、本来失業保険は受給できません。
しかし、会社は労働者が失業したものとして処理し、現実問題として不当解雇と認められるまでの期間の生活を維持する必要もあるので、仮給付が認められているのです。
あくまでも仮の給付なので、解雇が不当と認められ失業していなかったことになれば、受給した失業保険はハローワークに返還する必要があります。
通常、バックペイにより獲得した金銭を失業保険の返還の原資とすることになります。
ただし、解雇日付で会社都合により退職したことを前提とする和解を行う際には、失業していなかったことにはならないため、失業保険の返還をせずに済むことがあります。
つまり、退職前提の和解をする際には、失業保険を返還せずに、解決金を取得できることもあります。
失業保険と解雇については、以下の記事で詳しく解説しています。
バックペイの時効は、3年です。
バックペイの性質は給料であり、給料の時効は各給料日から3年とされているためです。
ただし、時効にかかっていない場合でも、前記のとおり、解雇をされて何もせずに放置していると、就労の意思を失っていた等の指摘を受けることになります。
そのため、バックペイの時効自体は3年ですが、時効にかかわらず、不当解雇をされたら早めに行動するにしましょう。
バックペイの請求に強い弁護士を探したい場合には、是非、労働弁護士コンパスを活用ください。
労働問題は非常に専門的な分野であり、弁護士であれば誰でもいいというわけではありません。
労働弁護士コンパスでは、労働問題に注力している弁護士を探すことは勿論、地域や個別の相談内容から、あなたにマッチする最高の弁護士を探すことができます。
初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。
どのようにして弁護士を探せばいいか分からないという場合には、まずは試しにこの労働問題弁護士コンパスを使ってみてください。
以上のとおり、今回は、バックペイとは何かを説明したうえで、相場や再就職後の中間収入の計算方法と税金・失業保険の処理について解説しました。
この記事で説明した内容を簡単にまとめると以下のとおりです。
本記事でお伝えしたことが、会社から解雇されてしまい、バックペイがどのようなものか知りたいと困っている方の役に立てば嬉しいです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
弁護士に相談する
籾山善臣
リバティ・ベル法律事務所
神奈川県横浜市中区尾上町1丁目4番地1関内STビル11F
鈴木晶
横浜クレヨン法律事務所
神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-21-1ダイヤビル303
人気記事
2025年2月22日
不当解雇
休職期間や手続をよく確認しないまま、長期にわたり休職を継続して、解雇を言い渡されてしまう事例が多くなっています。今回は、休職が解雇猶予の制度であることを説明したうえで、休職でクビになるケースや対処法を解説します。
2025年3月8日
労働一般
ブラック企業リスト掲載の事案は、労働安全衛生法違反が多く、実際のイメージとは異なる部分があります。今回は、ブラック企業リストとその内容について説明したうえで、ブラック企業を見極めるための簡単なチェックリストについて解説していきます。
2025年4月13日
ハラスメント
逆パワハラとは、部下から上司に対して行われるパワーハラスメントのことを言います。今回は、逆パワハラとは何かを説明したうえで、6つの事例や判例と簡単な対処法5つを解説します。