2025年5月2日
法律一般
法律の条・項・号の読み方や書き方、見分け方|条文に1項は書かない?
法律については、条を細分化したものが項、更に項を細分化したものが号となります。読み方は、「じょう、こう、ごう」です。今回は、法律の条・項・号の読み方や書き方、見分け方を解説していきます。
2025/12/13
法律手続


準備書面をどのように作成すればいいのか悩んでいませんか?
これまで裁判の準備書面なんて作ったことがないという方もいますよね。訴状や答弁書などと違って聞きなれない言葉だと感じる人もいるかもしれません。
準備書面とは、原告や被告が期日で陳述する内容を記載した書面のことです。
準備書面には、「相手方の主張に対する認否」と「自分の主張」を記載することになります。
準備書面を書いたら、正本と副本を印刷して、FAXや郵送により直送することになります。
ただし、準備書面は裁判の結果を大きく左右する大切な書面となり、作成する際にはいくつかの注意点があります。
また、準備書面の提出期限を守らないと円滑な訴訟進行の妨げになりますので、裁判官に指定された提出期限は守るようにしましょう。
実は、準備書面は弁護士として裁判をしていれば日常的によく作成する書面であり、弁護仕事に作成のノウハウやこだわりがあることもあります。
この記事をとおして、裁判の準備書面とはどのようなものなのかを弁護士としての経験などを交えながら誰でも分かりやすいように説明できれば幸いです。
今回は、準備書面とは何かを説明したうえで、書き方や記載例と注意点7つを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、誰でも上手に準備書面を作れるようになっているはずです。
目次
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準備書面とは、裁判の期日に向けて、相手の主張にどう答えるかや、自分は何を主張したいのかをあらかじめ整理して書いておく書面です。
裁判では、本来は口頭で主張する建前になっていますが、口で長い説明をすると聞き間違いが生じやすく、内容を記録に残しにくいので、書面で準備することが原則とされています。
この準備書面には、大きく「相手方の主張について、認めるのか争うのかを示す部分」と「自分の主張を説明する部分」が書かれます。
どの事実は認め、どの事実は否定するのか等をはっきりさせたたうえで、自分の主張を整理して記載していくことで、裁判所は争いになっているポイントをつかみやすくなります。
準備書面は、原告が出しても被告が出しても同じ名前で呼ばれます。訴状や答弁書のあと、裁判が続いていく中で、原告も被告も必要に応じて準備書面を重ねて提出していきます。
こうして主張と反論を積み重ねることで、「何が争点なのか」「どの証拠を中心に検討すべきか」が少しずつ整理されていきます。
また、準備書面は、裁判の記録として残るという重要な役割も持っています。
裁判官が交代した場合や、控訴審に事件が移った場合でも、準備書面がきちんと残っていれば、それまでの主張の流れや争点の整理状況を確認することができます。
その意味で、準備書面は、裁判の経過を共有する「共通のメモ」のような役割も果たしています。
このように、準備書面は、単に形式上必要な書類ではなく、裁判所と相手方に自分の考えを正しく伝え、裁判の進行を分かりやすくするための書面でもあります。
具体的な書き方や記載項目、注意点については、次の章以降で順番に見ていきましょう。
準備書面のテンプレート書式は、以下のとおりです。

準備書面テンプレート
書面の冒頭には、事件番号・事件名・原告・被告の氏名を記載します。
これは、裁判所がどの事件の書面か正確に把握するために必要な項目です。
例えば、以下のように記載します。
タイトルには「第1準備書面」などと記載します。複数回提出する場合は番号を付けて整理します。
原告側は「第1準備書面」、被告側は「準備書面⑴」などのタイトルを用いることが多いですが、とくに決まりはありません。
第1準備書面の次に出す準備書面は、第2準備書面などとします。
裁判所へ提出する日付を記載します。
提出日と同日で問題ありません。
審理を担当する裁判所名と部名を書きます。
「御中」を付けるのが通常です。
例えば、以下のとおり記載しきます。
原告本人が作成する場合は、自分の氏名を記載します。
右横に押印するのが一般的です。
準備書面が何に対しての認否・反論なのかを簡潔に書きます。
例えば、以下のとおり記載します。
認否は、準備書面の中心となる部分です。
相手方の主張を段落ごとに特定しながら、
のいずれかを記載します。
さらに、その理由を1〜2文で添えることで、裁判官が判断しやすくなります。
例えば、相手方の主張に対する認否は、以下のとおり記載します。
認否のあとに、原告としての反論・主張をまとめます。
相手方の主張を特定したうえで、「被告は〜と主張する。しかし〜である。」といった形で記載することが多いです。
例えば、自分の主張については、以下のとおり記載します。
準備書面を作成したら、裁判所と相手方に提出する必要があります。
準備書面は、裁判所用の正本1部と、相手方の人数分の副本を用意します。
例えば、相手方が被告1名であれば正本1部+副本1部、相手方が複数名であればその人数分準備します。
準備書面の提出は、原則として「直送」と呼ばれる方法で行います。
直送とは、正本を裁判所へ提出し、副本を相手方へ直接送る方式です。
郵送又はFAXで送るのが通常です。
郵送の際は、レターパックライトなど、送達記録が残る方法が推奨されます。
量が多くなく、写真などカラーでないと見にくい証拠を一緒に送る場合でなければ、FAXで送信することも多いです。
準備書面の印刷は、A4縦置き・白黒・片面印刷が原則です。
裁判所では、書面をファイルに綴じて保管するため、余白が確保されていること、字が潰れないことが重要です。
文字サイズは12ポイントが推奨です。
ホチキス留めに耐える十分な余白(左側3センチ程度)を確保しておくと実務的に読みやすくなります。
準備書面の作成者名の横には、認印で問題ないので押印をしておきましょう。
また、書面が複数枚にわたるときは、ページ番号を付して、左側2か所をホチキスで綴じます。
契印は不要です。
準備書面は、裁判官にあなたの主張を正確に理解してもらうための重要な書類です。
内容が読みづらかったり、事実と評価が混在していたりすると、主張の説得力が弱まってしまいます。
準備書面を書くうえで押さえるべき点はいくつかあります。
例えば、準備書面を作成する際の注意点としては、以下の7つがあります。
それでは、これらの注意点について順番に見ていきましょう。
準備書面は、裁判官が短時間で内容を理解できるよう、簡潔にまとめることが重要です。
主張が冗長になったり、同じ説明を繰り返したりすると、本当に伝えたい部分が埋もれてしまいます。
例えば、1つの事実について複数の言い回しで説明するよりも、必要な事実を時系列で整理して書く方がはるかに読みやすくなります。
裁判では「分量が多い=有利」ではありません。むしろ、要点が明快であることが説得力につながります。
準備書面は法律文書であるため、感情的な表現は避けるべきです。
「被告の態度が許せない」などの主観的な記載は、法律的な主張としては意味がなく、裁判官の判断に影響しません。
感情ではなく、何が起こり、どの法律構成に基づいて主張するのかを冷静に説明することが重要です。
認否は、準備書面の中で最も大切な部分のひとつです。
一度「認める」と書くと、後から争いたいと考えても、撤回することが容易ではなく、争点で不利になる可能性があります。
そのため、相手方主張を正確に把握し、
認められる部分(認める)/争う部分(否認)/自分では分からない部分(不知)
を丁寧に分ける必要があります。
実務上は、誤って認めてしまうことを避けるため、「その余は認める」などの認否は使わず、
認める部分を特定したうえで「その余は否認する」などと記載することが多いです。
法律論が争点になる場合、準備書面で裁判例や学説を引用することがあります。
争点となる部分について、裁判例や学説を整理し、実務上の傾向をまとめたうえで、あなたの事案の事実関係などから、説得的に主張を構成していきます。
裁判官も争点について裁判例の傾向や注目すべき事実について正確に理解していないことがあります。
そのため、重要な争点では裁判例や学説をリサーチしたうえで、説得的に整理しましょう。
準備書面では、事実を「いつ・どこで・誰が・何をしたのか」を具体的に記載する必要があります。
事実が曖昧なままだと、裁判官が内容を理解できなかったり、相手方に否認されやすくなったりしてしまいます。
例えば、「少し前にお金を渡した」ではなく、「令和7年12月20日、●●市内の喫茶店で200万円を手渡した」と特定するといいでしょう。
準備書面では、事実(起こったこと)と評価(法的判断や意見)を混同しないことが重要です。
このように分けることで、裁判官が論理構成をつかみやすくなります。
主張した事実は、証拠によって裏付ける必要があります。
そのため、準備書面では「甲1」「甲2」などと証拠番号を付して記載します。
証拠と主張の対応関係が明確であれば、裁判官は事実関係を理解しやすくなります。
準備書面の提出期限を守らないと、裁判の進行が滞り、円滑な訴訟進行の妨げになってしまうことがあります。
例えば、準備書面の提出期限を守らない場合のリスクとしては、以下のとおりです。

それでは、提出期限を守らない場合の具体的なリスクについて順番に見ていきましょう。
準備書面が期限までに提出されないと、期日で裁判官から注意や指摘を受けることがあります。
裁判は、当事者が書面を事前に読み込み、争点を整理したうえで進行する仕組みになっているため、期限遅れはその流れを阻害してしまうからです。
例えば、「提出期限までに書面を出せなかった理由を説明してください」と言われ、「提出期限を守ってください」と言われます。
準備書面を期限後に提出すると、場合によっては、その書面に記載した主張を陳述できないことがあります。
相手方の当事者が書面を受け取っていなかったり、確認できていなかったりすることがあるためです。
準備書面を期限通りにて提出しないと、争点の整理ができないリスクがあります。
裁判所はあなたの主張を正確に理解することができませんので、あなたが何を争っているかが不明確なまま、手続きが進められてしまう可能性があります。
争点を整理できないので、相手方当事者のへの指示も、「準備書面への反論をお願いします」などの曖昧な内容となります。
その結果、次回期日までの準備に時間がかかったり、争点が特定されず長々とした主張が繰り返されたりして、解決まで時間がかかることになります。
準備書面についてよくある疑問としては、以下の9つがあります。
これらの疑問を順番に解消していきましょう。
A.裁判官から準備書面の提出を指示されたのにこれを提出しない場合には、不利な判断をされる可能性が高いです。
裁判官は争点の判断に必要であるため準備書面の提出を指示しているのであり、これを提出しないということは争う機会を放棄したものと判断されがちであるためです。
あなたが準備書面を提出しないことを前提に判断が行われることになります。
A.準備書面に対する反論の書き方も、第2章の準備書面の書き方と同じです。
原告が第1準備書面を出したら、これに対して、被告から準備書面⑴などとして、「原告の主張に対する認否」「被告の主張」が出されるのが通常です。
これが繰り返されることになります。
A.準備書面は、主張書面の一つです。
主張書面とは、証拠と区別されてこのように呼ばれ、訴状や答弁書、準備書面のことを指します。
A.陳述書は、「証人や当事者の見聞きした事実を記憶に基づいて書いた書面」であり、証拠として扱われます。
これに対し準備書面は、主張を整理して裁判官に伝えるための書面で、証拠ではありません。
簡単にいえば、「陳述書→証拠」、「準備書面→主張」という役割の違いがあります。
陳述書については、以下の記事で詳しく解説しています。
A.意見書は、専門家が専門的な意見を述べるための書面です。
例えば、医師や学者が作成する意見書があります。
準備書面も、弁護士が作成しているので、法的な専門家が作成したものではありますが、あくまでも本人の代理人として記載した書面となります。
A.準備書面に嘘を記載してはいけません。
嘘が発覚した場合、裁判官からの信用を失い、主張全体が弱く見られてしまう可能性が高くなります。
民事裁判と嘘は以下の記事で詳しく解説しています。
A.手書きでも提出できますが、推奨されません。
手書きでは読みづらくなる可能性があり、裁判官が内容を正確に理解する妨げになるためです。
パソコンで作成し、A4・白黒・片面・適切な余白で整えるのが一般的です。
A.ページ数が多い場合には、目次を付けると裁判官が読みやすくなります。
短い書面であれば不要ですが、論点が複数ある場合には、章立ての一覧をつけるだけでも読みやすさが向上します。
40~50頁を超えてきた場合には、目次をつけるといいでしょう。
A.枚数に決まりはありませんが、必要以上に冗長になることは避けるべきです。
10頁前後が読みやすいと言われますが、争点の内容などによっても頁数は変わってきます。
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以上のとおり、今回は、準備書面とは何かを説明したうえで、書き方や記載例と注意点7つを解説しました。
この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。

まとめ
・準備書面とは、裁判の期日に向けて、相手の主張にどう答えるかや、自分は何を主張したいのかをあらかじめ整理して書いておく書面です。
・準備書面については、「相手方の主張に対する認否」と「自分の主張」を記載することになります。
・準備書面については正本1部と副本相手方人数分を提出する必要があります。直送によることになります。A4白黒片面で印刷し、複数枚によるときはホチキスで留めましょう。
・準備書面を作成する際の注意点としては、以下の7つがあります。
注意点1:端的に分かりやすく書く
注意点2:感情的な記載をしない
注意点3:認否は慎重にする
注意点4:裁判例や学説を整理する
注意点5:事実は具体的に特定する
注意点6:事実と評価を分けて記載する
注意点7:証拠を引用する
・準備書面の提出期限を守らない場合のリスクとしては、以下のとおりです。
リスク1:裁判官に注意・指摘を受ける
リスク2:陳述させてもらえない可能性がある
リスク3:争点整理ができず、不利になる
この記事が準備書面をどのように作成すればいいのか悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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