2025年5月2日
法律一般
法律の条・項・号の読み方や書き方、見分け方|条文に1項は書かない?
法律については、条を細分化したものが項、更に項を細分化したものが号となります。読み方は、「じょう、こう、ごう」です。今回は、法律の条・項・号の読み方や書き方、見分け方を解説していきます。
2025/12/17
法律手続


弁護士に辞任されてしまい悩んでいませんか?
これまでお願いしていた弁護士から辞任すると言われてしまうと困ってしまいますよね。
弁護士の辞任とは、弁護士が依頼者との委任契約を一方的に解除することをいいます。
音信不通や信頼関係の破綻と言った理由が多いですが、費用の未払や弁護士の心身の不調といった理由もあります。
弁護士が辞任した場合には、新しい弁護士を探すのも難しいですし、費用面でも、手続き面でもリスクがあります。
弁護士が辞任した場合には、相手方には辞任通知が送られ、裁判所には辞任届が出されるのが通常です。
弁護士に辞任されたら、法的手続きをスムーズに再開できるよう冷静に対処していくようにしましょう。
ただし、弁護士はよほどのことがなければ辞任しませんので、日ごろから誠実に対応していれば、そこまで辞任されることを不安に思う必要はありません。
依頼者側の原因で弁護士が辞任する場合には、着手金は原則として返金してもらうことができないため注意が必要です。
この記事をとおして、弁護士の辞任について実務上の経験なども踏まえ、誰でもイメージしやすいように分かりやすく説明できれば幸いです。
今回は、弁護士の辞任とは何かを説明したうえで、辞任理由7つと辞任された際の引継ぎや返金について解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、弁護士に辞任されたらどうすればいいのかがよくわかるはずです。
目次
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弁護士の辞任とは、弁護士と依頼者との間で結んでいる委任契約を、弁護士の側から終了させることをいいます。
突然のことに感じてしまいますが、辞任は、民法の「委任契約はいつでも解除できる」という一般的なルールに基づくものです。
弁護士が辞任できる仕組みになっているのは、代理人としての判断を続けるためには、依頼者と十分な意思疎通ができていることが欠かせないからです。
依頼者の希望を正しく把握できなかったり、やり取りが適切に行えなかったりすると、弁護士は責任ある業務を行うことが難しくなります。
このような状態で無理に担当を続けると、かえって依頼者の利益を損ねるおそれがあり、契約関係を終わらせることも選択肢の一つになります。
例えば、裁判所に辞任届が提出されたり、相手方に辞任通知が送られたりしますが、これは代理人ではなくなったことを手続き上明確にするためのものです。
そのため、弁護士の辞任そのものがトラブルや違法行為というわけではありませんし、実務上も弁護士の辞任は少なからず発生します。
弁護士が辞任する場合には、理由があります。
辞任してしまうとこれまでの委任事務の遂行は無駄になってしまい、弁護士としても辞任は望ましくない出来事であるためです。
例えば、代表的な弁護士の辞任の理由としては、以下の7つがあります。

それでは、弁護士が辞任するおもな理由について順番に見ていきましょう。
依頼者と連絡が取れなくなると、弁護士は必要な判断ができず、手続きを進めることが難しくなります。
このような状況では、依頼者の意向を確認できないまま進めてしまうおそれがあり、安全に業務を行うことができないためです。
例えば、何度連絡しても返信がない場合や、書類の確認をお願いしても返事が来ない場合があります。
こうしたケースでは、弁護士は責任を持って対応できなくなるため、辞任を選ぶことがあります。
弁護士と依頼者の関係は、お互いの信頼があってこそ成り立ちます。
信頼関係が構築できていない状況では、依頼者の意思をくみ取りにくいですし、弁護士として委任事務を遂行していてもストレスが大きくなり、良い弁護ができません。
例えば、依頼者が弁護士に暴言を言ったり、罵倒したりするようなケースでは信頼関係を維持することはできないでしょう。
そのため、信頼関係が続けられないと判断された場合には、辞任が選ばれることがあります。
弁護士費用が支払われない状態が続くと、弁護士は必要な準備や手続きを行えなくなります。
着手金は弁護士が委任事務に着手するにあたり必要なものであり、これが支払われなければ、委任事務に着手せず辞任されてしまうことになります。
実費は弁護士が委任事務を遂行する際の費用に充てるものであり、これが支払われなければ郵送や印刷もできなくなり辞任されてしまうことになります。
また、着手金や実費の支払いがされないと、委任事務が完了したところで、報酬金が支払われないリスクがあります。
そのため、費用が支払われなければ弁護士は辞任することになります。
弁護士と依頼者で進め方の方針が大きく食い違う場合、辞任につながることがあります。
弁護士は、法律や証拠に基づいて最善の方法を提示しますが、その判断を受け入れてもらえないと、適切な責任を果たすことが難しくなるためです。
方針の不一致が問題になるのは、依頼者が望む結果と法的に可能な対応が一致しないことがあるためです。
一方的に強い要求が続いたり、弁護士の助言がまったく受け入れられなかったりすると、弁護士が業務を進めにくくなってしまいます。
例えば、証拠が十分でないにもかかわらず「必ず勝てるはずだ」と強く求め続けたり、弁護士が難しいと説明した請求を無理に進めようとしたりするケースがあります。
このように、弁護士と依頼者が基本的な方針で折り合えない状態が続くと、弁護士は責任ある判断ができず、辞任という選択が取られることがあります。
依頼者から違法な行為や不当な対応を求められた場合、弁護士は辞任せざるを得ないことがあります。
弁護士は違法行為を助長することはできませんし、当然弁護士自体が違法なことをすることもできないためです。
例えば、「相手の会社を脅してほしい」「存在しない証拠を作ってほしい」「裁判所に虚偽の主張をしてほしい」など、法律に抵触する行為を求められるようなケースです。
弁護士自身の体調が悪くなったり、精神的な負担が大きくなったりすると、十分な業務ができなくなることがあります。
無理に担当を続けると、依頼者にとっても不利益になるおそれがあります。
例えば、長期間の療養が必要になったり、業務を続けるのが難しいほど疲れがたまったりするケースがあります。
そのような場合には、弁護士が辞任し、別の担当者へ引き継ぎが行われます。
医師からも、業務をしないようにストップがかかってしまうこともあるのです。
弁護士が業務停止処分を受けたり、退会を命じられたりした場合も、辞任が必要になります。
懲戒処分としてこのような処分が下されることがあり、弁護士として活動できなくなるため、依頼者の代理人を続けることができないのです。
弁護士資格は代理人活動の前提であり、資格が一時的に停止されたり、事務所を閉鎖したりすると、契約を維持できなくなります。
例えば、懲戒処分により数か月間の業務停止となった場合、その期間は依頼者のために活動できないため、辞任して別の弁護士に引き継ぐ必要があります。
弁護士が辞任した場合には、依頼者にもリスクがあります。
どのようなリスクがあるかを知っておくことで対応もしやすくなるでしょう。
例えば、弁護士が辞任した場合のリスクとしては、以下の4つがあります。

それでは、弁護士の辞任によって生じやすいリスクについて順番に見ていきましょう。
弁護士が辞任すると、債権者から督促や取り立てが再開してしまうおそれがあります。
これは、弁護士が受任している間に働いていた「取り立ての制限」がなくなるためです。
弁護士が受任すると、貸金業者や債権回収会社などは、法律上、依頼者本人に直接電話したり訪問したりすることが制限されます。
しかし、弁護士が辞任すると、代理人がいない状態になり、この保護が外れてしまいます。
例えば、これまで止まっていた電話や郵便が再び届いたり、支払いを求める通知が本人宛てに来たりすることがあります。
弁護士の辞任があると、支払った着手金がそのまま戻ってこないケースがあります。
着手金は仕事を始める段階で支払う費用であり、その後依頼者側の原因で辞任や解任があっても返金されないのが原則だからです。
着手金が戻らない理由は、支払い時点で弁護士が業務を開始しているためです。
辞任までに行われた調査や書面作成などがあり、その対価として着手金が充てられているため、途中で担当が変わっても返金の対象にはなりません。
例えば、訴状の作成に向けて資料を整理していた段階で辞任があったとしても、すでに作業が進んでいれば返金にはつながりません。
依頼者にとっては新しい弁護士に再度の着手金が必要になるため、費用負担が増えるおそれがあります。
辞任があるとこれまでの費用が無駄になる可能性があるため、費用面の備えが必要です。
弁護士の着手金の相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
辞任された後、新しい弁護士を探そうとしても苦労することがあります。
前任の弁護士が辞任をしていると、問題がある人物又は案件として、受任を断られることもあるからです。
弁護士が途中で辞任する事例は、日常的なものではありません。
そのため後任の弁護士は、「前任者が辞任したのは、依頼者との関係に問題があったのか」「案件が極端に難しいのではないか」などと警戒することがあります。
こうした印象を持たれると、内容を詳しく確認する前でも受任を断られる場合があります。
例えば、辞任通知が出されている案件を相談した際に、「忙しいので受任はできません」と言われるケースがあります。
しかし、本当の理由は内容の複雑さではなく、「辞任があった案件はトラブルを抱えている可能性がある」と判断されている場合もあります。
このように、辞任があると、「問題のある案件・依頼者ではないか」と見られ、新しい弁護士に断られやすくなるリスクがあるのです。
弁護士が辞任すると、裁判や交渉が一時的に止まります。
弁護士がいない状態では手続きを進められないため、解決までの時間が延びてしまいます。
手続きが止まる理由は、代理人が交代する際に、関係者への通知や資料の整理が必要になるためです。
後任の弁護士が決まらないまま時間が過ぎると、期日の変更が必要になったり、相手方との交渉が進まなかったりします。
例えば、裁判中に辞任があると、裁判所が新しい代理人の就任を待つために期日を延期することがあります。
その結果、解決まで数週間から数か月程度遅れてしまうこともあります。
このように、辞任は手続きの停滞につながり、解決が後れるリスクがあります。
弁護士は辞任した場合には、辞任通知や辞任届を出すことになります。
具体的には、辞任通知や辞任届には以下の種類があります。
それでは、これらについて順番に説明していきます。

依頼者への辞任通知の書式

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弁護士が辞任するときは、まず依頼者本人に対して「辞任通知」という書面が送られます。
通知には、弁護士の所属事務所名や連絡先、辞任する理由などが記載されます。
例えば、弁護士が何度もメールや電話を試みても連絡が届かなかった場合には、その点を理由として辞任通知に記載することがあります。
依頼者への辞任通知は「代理人がいなくなったことを知らせる書面」であり、届いたら内容を読み、必要な手続きを整理しましょう。

相手方への辞任通知の書式

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弁護士は、辞任したことを相手方にも知らせることがあります。
相手方に辞任したことを知らせないと、辞任した後も弁護士宛に連絡が届いてしまうためです。
書式はシンプルで、相手方代理人の名前を宛名とし、「〇〇氏の代理人を辞任した」という事実を簡潔に記載します。

裁判所への辞任届の書式

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裁判中の案件では、弁護士が辞任するときに裁判所へ「辞任届」を提出します。
辞任届を出しておかないと、辞任後も裁判所から連絡が来てしまうためです。辞任する旨を端的に記載することになります。
弁護士に辞任された場合には、スムーズに法的手続きを進めることができるように冷静に対処しましょう。
辞任後にまず何をするべきかを知っておくことで、混乱を減らし、早い段階で次の弁護士につなぐことができます。
例えば、弁護士に辞任された場合の対処法としては、以下のとおりです。
それでは、辞任後に取るべき具体的な手順を順番に見ていきましょう。
辞任された直後に最優先で行うべきことが、資料や原本類の返還を依頼することです。
これらの資料は、次の弁護士が状況を把握し、手続きを再開するために欠かせないものだからです。
手続きの進行に必要な書類が依頼者の手元にない状態だと、後任の弁護士が判断できず、対応が遅れてしまうためです。
例えば、債務整理のケースでは、債権者一覧や取引履歴の資料が手元にないと、後任弁護士が債務額を確認できず、相談が進まないことがあります。
辞任後は、できるだけ早く後任となる弁護士を探す必要があります。
代理人が不在のまま時間が経つと、相手方から直接連絡が来たり、手続きが止まったりするためです。
前任弁護士が辞任している案件では受任を慎重に判断されてしまい、新しい弁護士が見つかりにくい可能性がありますので、早めに動くといいでしょう。
後任の弁護士を探す際には、前任の弁護士が辞任した理由を正直に説明することが大切です。
隠して依頼しても、後から前任の弁護士がいたことは発覚します。
前任の弁護士がいたことを隠して依頼されたとわかれば信頼関係は崩れ、再度、辞任されてしまう可能性があります。
なぜ前任の弁護士が辞任に至ったのかを正直に説明したうえで、弁護士の不安を解消して受任してもらえるよう誠実に対応するようにしましょう。
後任弁護士が決まったら、前任弁護士に対して引き継ぎをお願いしてみることも考えられます。
事件の経緯や概要、現在の状況について、前任の弁護士から端的に説明していれば、後任の弁護士が事件を進めやすくなるためです。
ただし、どこまで引き継ぎに協力してもらえるかは、前任の弁護士との関係にもよります。
前任の弁護士が辞任する場合にも対立的な関係とはならず、友好的な関係を維持しておくとスムーズに進めやすくなります。
弁護士に辞任されると手続きが止まったり、後任探しで困ったりするため、できるだけ辞任を防ぐことが大切です。
日ごろから少し意識するだけで、弁護士との関係を安定させ、安心して手続きを進められるようになります。
例えば、弁護士の辞任を防ぐ方法としては、以下の3つを意識するといいでしょう。
それでは、弁護士との関係を円滑に保つための具体的なポイントを順番に見ていきましょう。
弁護士に辞任されないためには、連絡への返信や必要な資料の提供をこまめに行うようにしましょう。
連絡が滞ると、弁護士は依頼者の意向を確認できず、委任事務を進めることができなくなってしまうためです。
また、お願いした資料や証拠を集めてくれなかったり、訴訟委任状を書いてくれなかったりすると、手続きを進めることが難しくなることがあります。
繰り返し回答や協力の催促をすることも、弁護士の負担となってしまい、業務を圧迫してしまいます。
回答や協力をしてくれないというのは、弁護士にとっては委任事務を非常に進めにくくなる事情の一つなのです。
弁護士の辞任を防ぐには、弁護士が示す専門的な判断や方針を尊重する姿勢も大切です。
弁護士は多数の案件を扱い、法律に基づいて最善と考える方法を提案しているためです。
意見がぶつかること自体は問題ではありませんが、弁護士の説明を一方的に否定したり、強い言い方を繰り返したりすると、信頼関係が揺らいでしまいます。
その結果、弁護士が業務を続けることが難しくなることがあります。
例えば、証拠が足りない場合に「必ず勝てるはずだ」と主張し続けると、弁護士は現実的な方針を立てられず、依頼者との意思疎通が困難になります。
方針に疑問があるときは話し合いをしつつ、専門的な意見を一定程度受け入れる姿勢が、辞任を避けるために役立ちます。
辞任を防ぐうえで重要なのが、乱暴な発言や攻撃的な態度を避けることです。
弁護士も人間であり、過度な言動が続くと安全に業務ができなくなるためです。
感情的なやり取りが増えると、弁護士は依頼者の意向を正確に把握できず、信頼関係が崩れてしまうことがあります。
その状態では、責任ある判断を続けることが難しくなるため、辞任が検討されることがあります。
例えば、話し合いの中で強い口調で非難したり、メールで厳しい表現を繰り返したりすると、弁護士は精神的な負担を感じ、業務を継続することがストレスとなります。
このように、弁護士とのやり取りでは落ち着いた姿勢を心がけることが、辞任を防ぎ、良い関係を維持するために欠かせません。
弁護士が辞任した場合でも、着手金が返金されるケースは多くありません。
着手金は成功の有無に関わらず「弁護士が業務に着手するための基本費用」として支払うものだからです。
弁護士は、委任事務に着手すれば、相談内容の整理、資料の確認、書面作成の準備など、弁護士がこれまでに行った作業を行うことになります。
例えば、交渉を行い、その後訴訟手続きの準備をしていたにもかかわらず、依頼者側の事情で辞任したような場合には、着手金は返金して盛らないのが通常です。
一方で、まったく作業がされていない段階などでは、例外的に返金の余地があるケースもあります。
返金の可否が気になる場合には、契約書を確認したり、弁護士に具体的な業務内容の説明を求めたりしましょう。
弁護士の辞任は共通の理由で起きることが多いものの、分野によって注意すべき点が変わる場合があります。
それぞれの手続きに固有の特徴があるため、状況に合った対処を知っておくことが大切です。
以下では、「離婚」「自己破産や債務性」「交通事故」の分野ごとに辞任について押さえるべきポイントを説明します。
離婚事件で弁護士が辞任すると、相手方との連絡を自分で受けなければならない場面が生じることがあります。
これまで弁護士が窓口になっていた分、辞任後は連絡が直接依頼者に届くようになるためです。
とくに、相手方が強い言い方をしたり、感情的になりやすかったりする場合には、直接のやり取りが心理的な負担につながることがあります。
弁護士が間に入っているときには避けられていた緊張感が、辞任後に突然依頼者へ向かってしまうことがあるためです。
このように、離婚事件では弁護士の辞任によって相手方と直接やり取りをしなければならない場合があり、精神的な負担が大きくなることがあります。
自己破産や債務整理では、連絡が途絶えたり書類が提出されなかったりすると、手続きが進まなくなるため辞任が起きやすい分野です。
辞任後は特に早急に後任弁護士を探す必要があります。
この分野で注意すべき理由は、弁護士の受任中は督促が止まることがあるため、辞任と同時に督促が再開してしまう可能性が高いからです。
時間が経つほど負担が増えてしまいます。
例えば、家計の資料が揃わず破産手続きが進められず、弁護士が辞任するケースがあります。
辞任後は督促状が届いたり、返済を求められたりする連絡が増えることがあります。
交通事故で弁護士が辞任すると、弁護士費用特約を使っている場合に、利用できる費用の枠に影響が出ることがあります。
弁護士特約は「使える上限額」が決まっているため、前任弁護士に支払われた金額によって、後任弁護士の費用に使える金額が減ってしまうことがあるためです。
保険会社が負担することのできる金額が「1件あたり〇〇万円まで」などと定められており、複数の弁護士に依頼した場合でも総額は増えないからです。
辞任までに支払われた費用が枠を消費してしまうと、新しい弁護士を頼む際に追加費用が必要になることがあります。
例えば、特約の上限が「300万円」だったとして、前任弁護士に200万円分の費用が発生していた場合には、後任弁護士に使える残額は100万円のみという扱いになります。
後任弁護士への依頼が長期になると、枠を使い切ってしまい、自費負担が生じる可能性があります。
弁護士の辞任についてよくある疑問を整理すると以下の4つがあります。
これらの疑問を順番に解消していきましょう。
A.辞任を通知する義務について、明文の規定があるわけではありません。
しかし、相手方への通知を怠ると、辞任を相手方に対抗できない可能性があります。
また、相手方は、弁護士から辞任の通知が届かなければ、未だ代理人が就いているので直接本人に連絡できないと信じて、弁護士宛の連絡を続けることになります。
代理人ではない弁護士が本人への連絡を妨げ、本人宛の連絡を受け取るというのは問題があるでしょう。
そのため、弁護士は辞任した場合には、速やかに辞任通知を送付するべきです。
A.「辞任」は弁護士が依頼者との契約を終了すること、「解任」は依頼者が弁護士を契約から外すことをいいます。
どちらも委任契約の終了ですが、立場が逆で意味が異なります。
A.弁護士が辞任するために特別な手続きや要件が必要だと思われがちですが、民法上の委任契約はいつでも終了させることができるため、法律上の要件は厳しくありません。
辞任に要件が設けられていない理由は、信頼関係がない状態で無理に活動を続けると依頼者の不利益につながるためです。
A.相手方の弁護士が辞任した場合、連絡が取りにくくなったり、交渉がやり直しになったり、手続きが止まったりするリスクがあります。
辞任通知を送ってもらい、理由や今後について確認したうえで、回答を待つか本人に連絡するかを検討しましょう。
相手の弁護士が辞任した場合については、以下の記事で詳しく解説しています。
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以上のとおり、今回は、弁護士の辞任とは何かを説明したうえで、辞任理由4つと辞任された際の引継ぎや返金について解説しました。
この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。

まとめ
・弁護士の辞任とは、弁護士と依頼者との間で結んでいる委任契約を、弁護士の側から終了させることをいいます。
・代表的な弁護士の辞任の理由としては、以下の7つがあります。
理由1:音信不通
理由2:信頼関係の破綻
理由3:費用(着手金や実費)の未払
理由4:方針の不一致
理由5:違法行為の強要
理由6:心身の不調
理由7:業務停止や退会命令
・弁護士が辞任した場合のリスクとしては、以下の4つがあります。
リスク1:債権者からの督促・取り立てが再開する
リスク2:着手金が無駄になる
リスク3:新しい弁護士を探すのが難しい
リスク4:手続きが止まるため解決が後れる
・弁護士は辞任した場合には、辞任通知や辞任届を出すことになります。
・弁護士に辞任された場合の対処法としては、以下のとおりです。
手順1:原本類を返還してもらう
手順2:後任の弁護士を探す
手順3:正直に事情を説明する
手順4:引き継ぎをしてもらう
・弁護士の辞任を防ぐ方法としては、以下の3つを意識するといいでしょう。
方法1:回答や協力を怠らない
方法2:専門家としての意見を尊重する
方法3:乱暴な発言や態度をしない
・弁護士が辞任した場合でも、着手金が返金されるケースは多くありません。
この記事が弁護士に辞任されてしまい悩んでいる方の助けになれば幸いです。
以下の記事も参考になるはずですので読んでみてください。
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