インタビュー|石田珠美弁護士 Sfil法律事務所
―一人ひとりの希望に向き合う石田珠美弁護士―
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外資系企業の企業法務を経験し、現在は離婚や労働問題、刑事事件に幅広く取り組む石田珠美弁護士。留学経験を生かした英語での相談に対応し、ご本人の希望を尊重し、安心して話せる関係を大切にしています。本インタビューでは、弁護士を志した原点や日々の相談への姿勢、刑事弁護への思いについて、お話をお伺いしました。
——弁護士を志したきっかけを教えてください。
父が医療事故に遭ったことが、直接のきっかけです。そのときは弁護士に依頼せず、家族で相手方とのやり取りを進め、十分な法律の知識がないまま話し合いを終えてしまいました。
弁護士という職業を知らなかったわけではありません。ただ、「弁護士に相談するほどのことではない」と考えてしまったのです。あのとき気軽に相談できていれば、違う対応ができたのではないかという思いが残りました。
法律を知らない方や、弁護士への相談に踏み出せない方が、気軽に頼れる弁護士になりたい。そう考えるようになったのが、高校3年生の頃でした。
——弁護士になるまでの歩みと、これまで取り組んできた分野を教えてください。
法学部へ進学しましたが、大学に入ってすぐから勉強一筋だったわけではありません。受験が終わった開放感もあり、最初は大学生活を楽しんでいました。本格的に弁護士を目指して勉強し始めたのは、大学3年生の頃です。
弁護士になって最初に勤めた都内の法律事務所では、英語を生かし、外資系企業のITや知的財産に関する企業法務などに携わりました。現在は、離婚、刑事、労働を中心に、一般民事事件を幅広く扱っています。
離婚は国内の案件も国際離婚も対応しています。刑事事件は国選・私選の両方で、裁判員裁判の対象となる事件も扱っています。労働事件は労働者側のご相談が多いですが、会社側も担当しており、残業代や解雇をめぐる問題などに取り組んでいます。
——学生時代は、どのような性格でしたか。
子どもの頃から、かなり負けず嫌いでした。学校の部活動とは別にバレエ団に所属し、本格的にバレエに取り組んでいた時期もあります。
バレエは、点数だけで良し悪しが分かるものではありません。「どこがよくないのだろう」「何を変えればよくなるのだろう」と、自分なりに研究していました。うまくいかないときに、その理由を考えて取り組むところは、昔からあったと思います。
——弁護士になってから、ご自身の考え方が変わった部分はありますか。
私が正しいと思う解決が、ご依頼者様にとっても正しいとは限らないと考えるようになりました。例えば、お金を多く回収できれば喜んでもらえると思っていても、ご本人が本当に望んでいたのは、人間関係の修復だったということがあります。
弁護士の側で「これが一番よい」と決めてしまうのではなく、その方が何を大切にしているのかを確認する。ご依頼者様の希望を出発点に考えるようになったことは、大きな変化ですね。
——ご相談者様の本当の希望を知るために、どのような工夫をされていますか。
最初は「どうされたいですか」と、自由に答えていただける聞き方をします。言葉に詰まらない限りは、できるだけそのままお話しいただき、その後で、実現するためにどのような法的な方法があるのかを考えます。
うまく言葉にできない場合には、「こういう方法もあります」と選択肢をお示しします。そもそも何を実現したいのか分からないまま相談に来られる方もいますし、そのような段階で来ていただいてよいと思っています。まず事実を整理するところから始めて、方針も一緒に考えていきます。
——離婚など、感情が強く関わる問題では、どのように向き合っていますか。
まずは、お気持ちを聞かせていただきます。そのうえで、法律で実現できることと、難しいことを、最初の段階でお伝えするようにしています。
希望をかなえることが難しい場合に、期待だけを持たせてしまうのはよくありません。ただ、突き放すような伝え方にならないことも大切です。かかる時間や費用、その選択によって今後どのような影響がありそうかも整理し、理解していただいたうえで方針を選んでいただきます。
事件を抱えている間は、精神的にも負担がかかります。法律上の対応とともに、気持ちの面でも支えになれるようなやり取りを心がけています。
——石田先生が考える「相談しやすい弁護士」とは、どのような弁護士でしょうか。
最初に「話してみよう」と思ってもらえる弁護士だと思います。弁護士は、普段の生活では接する機会が少ない存在ですから、それだけで緊張してしまう方もいます。
電話でもメールでも、相談を歓迎していることが伝わるように意識しています。「怖い人ではないんだ」「こんなことも話していいんだ」と感じてもらえることが、相談のしやすさにつながると思っています。
——弁護士になってよかったと感じるのは、どのようなときですか。
ご依頼者様に満足していただけたときですね。特に、「ご飯がおいしく食べられるようになりました」と言っていただけたことは、うれしかったです。
「やっと前を向けます」と言っていただくこともあります。事件が終わることで、その方が日常を取り戻したり、次の一歩を踏み出せたりする。そうした変化を感じられると、この仕事をしていてよかったと思います。
——負けず嫌いな一面は、弁護士の仕事でも表れますか。
ご依頼者様が不利な状況に置かれているときには、表れると思います。特に刑事事件などでは、必要なことをためらわずに伝え、場面によっては強く主張することもあります。
労働事件で大きな企業が相手になった場合も、企業の規模だけでひるむことはありません。大きな会社だからといって、その主張が法律上正しいとは限らないからです。相手の名前や規模にとらわれず、必要なことを確認して、粛々と進めるようにしています。
——民事事件と刑事事件の双方を扱うことは、どのような強みにつながっていますか。
刑事事件で培う、事実関係を丁寧に分析する姿勢は、民事事件にも生きていると感じます。何が起きたのかを一つずつ確認して考えることは、どの分野でも欠かせません。
また、目の前の判断が、その方の生活や将来にどう影響するのかを考える点も共通しています。事件の中で一つの決断をするときにも、その後の人生まで見据えて考えるようにしています。
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——刑事弁護では、どのようなことを大切にされていますか。
ご依頼者様にとって少しでも有利な結果を目指し、そのためにできる限りの弁護活動をすることです。刑事事件というと逮捕された方を想像されるかもしれませんが、逮捕されずに捜査を受けている方もいらっしゃいます。
警察から呼び出され、今後起訴されるのか、仕事や家族にどのような影響があるのかと不安を抱える方もいます。事実関係や証拠を丁寧に確認し、取調べへの対応を検討したり、必要に応じて被害者の方との示談交渉や検察官への意見提出を進めたりします。
——逮捕されていない段階でも、弁護士に相談する意味はありますか。
もちろんあります。早い段階でご相談いただくことで、取れる対応が増える場合があります。例えば、警察から呼び出しを受けたときにどう対応するか、供述する前に何を整理しておくべきか、確保できる証拠はないかなどを検討できます。
被害者の方がいる事件では示談交渉が適切な場合もありますし、身に覚えがない場合には、疑いを晴らすための証拠や説明を検討します。事件の状況に応じて、不起訴処分など、ご本人にとってできる限り有利な結果を目指して活動します。
同じ刑事事件でも、ご本人が何を最も重視するかは異なります。処分の見通しだけでなく、勤務先や家族への影響なども踏まえ、取れる選択肢を一つずつ整理することが大切だと考えています。
——事件に至った背景や、ご本人のこれからの人生についても大切にされているそうですね。
そうですね。面談や接見を重ねるうちに、最初は聞けなかった事情や、弁護方針を考えるうえで重要な事実が見えてくることがあります。その方が置かれている状況や希望を、できるだけ丁寧に理解したいと思っています。
刑事事件の結果は、その後の仕事や生活に大きな影響を与えます。だからこそ、目の前の手続だけを見るのではなく、事件が終わった後の人生まで考えながら、できる限りの弁護活動に取り組んでいます。
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——英語を使って対応した事件で、特に印象に残っているものを教えてください。
外国人の方が、薬物の持ち込みを疑われた刑事事件です。慣れない国で身柄を拘束され、自分がどのような立場にあるのか、これから何が起きるのかも分からない。その状況を理解していただくこと自体に、難しさがありました。
私は英語でやり取りができますが、母語ではありません。それでも、自分の言葉で手続きの流れを説明し、理解していただけるように努めました。接見を重ねるにつれて表情が和らぎ、冗談も増えていったことを覚えています。
少しずつ安心してもらえていると感じられたことが印象に残っています。この経験は、外国人の方の事件にも引き続き取り組みたいと思うきっかけになりました。
——留学経験は、語学力以外の面でも仕事に生きていますか。
相手がどのような説明を求めているのかを意識することに、生きていると思います。私が相談を受けてきた外国人の方の中には、最初に結論や選択肢をはっきり示してほしいという方もいます。
そのような場合は、結論を先にお伝えし、「取れる方法はこれとこれです」と明確に説明します。難しいことは、曖昧にせず難しいと伝えます。ご本人に伝わる説明の仕方を考えることが大切だと思います。
英語での接見では、通常は通訳を介さずにやり取りしています。ご本人の言葉を直接聞き、自分の言葉で答えられることは、強みの一つだと感じています。
——日本の制度になじみのない方への説明では、何を意識していますか。
日本の仕組みを知っていることを前提にせず、最初から簡潔に説明するようにしています。例えば、すぐに裁判をしたいというご希望があっても、裁判には費用や時間がかかり、望んだ結果にならない可能性もあります。
交渉から進めることのメリットも含めて説明し、ご本人が理解して選べるようにします。言葉が通じていても、制度について同じ認識を持っているとは限らないので、その点は気をつけています。
——国際離婚など、国をまたぐ問題で、早めに相談してほしいと考える理由を教えてください。
まず、どの国の法律が適用されるのかを確認するところから考える必要があるためです。その出発点で判断を誤らないよう、早い段階から弁護士が関わる意味は大きいと思います。
また、国をまたいで手続きを進める場合には、書類を相手へ届けるために時間がかかることもあります。国内の問題と同じようには進まない場合があるからこそ、早めに状況を整理し、対応を考えていきたいですね。
——IT分野に関心を持ったきっかけは何ですか。
パソコンは小学生の頃から使っていました。最初は、大人が使っている姿が格好よく見えたのだと思います。自分が入力したことがすぐに画面に表れ、知りたいことを調べられるのが面白くて、よく触っていました。
そのような個人的な関心に加えて、以前の事務所でIT分野に関わる仕事をした経験もあります。個人情報や知的財産の問題、インターネット上の名誉毀損や発信者情報開示など、ITと法律が関わる場面は多いと感じています。
——AIは、現在のお仕事にどのように取り入れていますか。
日々の実務では、資料の整理や計算の補助などにAIを活用することがあります。例えば、残業代の計算に向けて勤務時間のデータを整理する際などです。最終的な数字や法的な判断については、弁護士自身が確認することが大切だと考えています。
また、AIの会社からお声がけいただき、法律分野で使うAIの開発にも、法律面から協力しています。もともと関心のある技術に、弁護士として関われるのは面白いですね。
——今後、特に力を入れていきたい分野はありますか。
相続や法人破産について、さらに経験を積み、対応する力をつけていきたいです。私にとっては、弁護士として技術を磨き、挑戦していきたい分野です。
刑事事件にも、引き続き力を入れていきたいと思っています。一人ひとりと向き合う中で学ぶことが多く、これからも大切にしていきたい仕事です。
——美容分野や、起業する方の支援にも関心をお持ちなのですね。
私自身、美容に関心がありますし、周囲にも美容関係で起業している方がいます。そうした方々に、法律の面から役立つサービスを提供できればと思っています。
例えば、予約のキャンセルなど、日々の事業の中で悩まれていることもあります。身近な困りごとに対して、弁護士として支えになれたらうれしいですね。
——子どもへの法教育について、どのような思いをお持ちですか。
子ども同士のいじめやけんかでも、弁護士が関わる問題になることがあります。自分では深く考えていなかった行動が、他の人の権利を傷つけてしまうこともあるのです。
難しい法律の知識を覚えるというより、「どのような行動が人を傷つけるのか」「してしまったことに、どのような責任が伴うのか」を、子どものうちから知ることが大切だと思います。
刑事事件に関わる中でも、もっと早く知る機会があれば、違う選択ができたのかもしれないと感じることがあります。まだ十分に活動できてはいませんが、今後取り組んでいきたいことの一つです。
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——休日は、どのように過ごされていますか。
最近、子どもが生まれたので、今は子どもの世話が中心ですね。夫にも支えてもらいながら、仕事と子育てをしています。
お茶が好きなので、家で子どもの世話をしながらお茶を飲んだり、以前から続けているヨガをしたり、散歩に出たりしています。今は生活がすっかり変わって、親になったのだなと感じます。
——お仕事では、土日も連絡を受けているのでしょうか。
ご相談者様にとっては、土日のほうが時間を取りやすいこともあります。そのため、私はあまり曜日で区切る感覚を持たず、土日にもご連絡いただいています。相談しようと思ったときに、連絡してもらえたらと思います。
——好きな言葉や、座右の銘を教えてください。
「死ぬこと以外はかすり傷」でしょうか。新しいことにも挑戦していきたいという気持ちに合う言葉だと思います。
——これから、どのような弁護士を目指していきたいですか。
技術力の高い弁護士になりたいです。法律の知識はもちろんですが、裁判の場で、ご依頼者様のためにできる限りの弁護活動をすることにも、技術が必要だと思っています。
ご依頼者様への接し方や、気持ちの面でのサポートも、弁護士としての技術の一つです。事件を進める力と、人と向き合う力の両方を磨いていきたいですね。
——最後に、このインタビューを読んでいる方へ、メッセージをお願いします。
法律の問題なのか分からない段階でも、まずは弁護士に連絡してみてください。「こんなことを相談してよいのだろうか」と、ためらわなくて大丈夫です。
話してみた結果、法律上の対応が必要なかったのであれば、それはそれでよいと思います。一方で、ご本人には状況がよく分からなくても、できることが見つかる場合もあります。
何をどう説明すればよいか、どうしたいのかが決まっていなくても構いません。まずは今の状況をお聞かせください。一緒に整理して、これからどうしていくかを考えていきましょう。




