答弁書の書き方！自分で書く場合の簡単な記載例【テンプレート書式】

答弁書の書き方が分からずに悩んでいませんか？

書いたことがない答弁書を期限までに提出するように言われても困りますよね。

答弁書の書き方としては、事件を特定したうえで、請求の趣旨の答弁や請求原因への認否、被告の主張を記載することになります。

もし、答弁書の提出期限に間に合わないときは、請求原因への認否と被告の主張は「おって主張する」と記載しておきましょう。

弁護士に依頼せず答弁書を自分で書く場合には、裁判所の書式を活用することも考えられます。

答弁書については、郵送かＦＡＸ、持参する方法により、裁判所と原告に提出しましょう。

答弁書は、書きたいことを記載すればいいというわけではなく、事実関係を具体的に整理して、法的にあなたの主張を記載していくべきであるということに注意しましょう。

実は、答弁書は、被告が最初に提出する主張書面であり、裁判官によっては訴状と答弁書からおおよその心証を形成してしまうこともあると言われています。

訴訟において被告の立場を示すとても重要な書面になりますので、慎重に書くようにしましょう。

この記事をとおして、答弁書の書き方について弁護士としての経験から誰でもわかりやすいように説明していくことができれば幸いです。

今回は、答弁書の書き方について、自分で書く場合の簡単な記載例とテンプレート書式を解説していきます。

具体的には、以下の流れで説明していきます。

この記事を読めば、答弁書の書き方がよくわかるはずです。

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１章　答弁書の書き方の例｜ｗｏｒｄ書式ダウンロード

１－１　事件番号・事件名・当事者名（①）

答弁書の左上に事件番号と事件名、当事者名を記載しましょう。

訴状と一緒に「第１回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」が届いているはずです。

これに事件番号や事件名、当事者が記載されていますので、これを書き写しましょう。

例えば、以下のように記載をします。

１－２　作成日（②）

答弁書には作成日を記載しておきましょう。

とくに決まりありませんので、提出日などを記載しておくといいでしょう。

１－３　宛先（③）

答弁書には、宛先を記載しておきましょう。

訴訟が係属している裁判所と担当部を記載しておきます。

「第１回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」に記載されています。

例えば、「●●地方裁判所第●民事部 御中」などの記載をしましょう。

１－４　作成者（④）

答弁書の作成者（被告）の名前を記載しましょう。

作成者名の右横に押印をしておくのが通常です。

例えば、「被 告 ● ● ● ●」などの記載をして、押印をします。

１－５　送達場所（⑤）

希望する送達場所を記載しておきましょう。

裁判所からの電話や書類の送付、原告からの書類の送付などについては、記載した送達場所宛に行われることになります。

例えば、以下のような記載をしましょう。

１－６　請求の趣旨に対する答弁（⑥）

裁判所に求める判決の内容を「請求の趣旨に対する答弁」として記載しましょう。

例えば、被告の立場であれば、答弁書には以下のような記載をしておくのが通例です。

１－７　請求の原因に対する認否（⑦）

訴訟に記載されている「請求の原因」に対する認否を記載するようにしましょう。

認める、否認する、不知のいずれかを記載しておきます。

「認める」とは、事実関係に争いのない場合に行う認否です。

「否認する」とは、事実関係に争いのある部分に行う認否です。

「不知」とは、記載された事実関係を知らない場合に行う認否です。

例えば、「第１段落目について、原告から令和７年８月２９日に１００万円の振り込みがあったことは認め、原告が貯金を崩したことは不知であり、その余は否認する。」との記載をします。

１－８　被告の主張（⑧）

あなたの言い分を「被告の主張」として記載しましょう。

例えば、「被告は、令和８年３月１４日、原告に対し、上記借り入れの返済として、原告の銀行口座に振り込み送金する方法により１００万円を支払った。」との記載をします。

２章　答弁書の提出期限に間に合わない！「おって主張する」の記載例

答弁書については、期日の１週間程度前を提出期限として設定されていることが通常です。

訴状が届いてからだと、１ヶ月程度しか期間が残っておらず、答弁書の準備が間に合わないということも珍しくありません。

このような場合には、「請求の原因に対する認否」と「被告の主張」については、「おって主張する」と記載する方法があります。

請求の趣旨に対する答弁を記載しておくことで、ひとまず被告が争う意思は明らかになります。

このような答弁書を提出すると、裁判所から、いつまでであれば「請求の原因に対する認否」と「被告の主張」を用意できるかを確認されます。

そのうえで、「請求の原因に対する認否」と「被告の主張」を記載した準備書面の提出期限を設定され、その１週間後に第２回期日が設定されることになります。

実務上も、よくこのような答弁書が用いられています。

３章　答弁書を自分で書く！裁判所の書式の記載例

答弁書を自分で書く場合には、裁判所の書式を使用することで簡単に記載することができます。

争いが少ない事案であれば、裁判所の書式を利用して自分で記載するのもありでしょう。

上記の記載例のとおり、事件番号や当事者、作成日、宛先などの記載をしたうえで、別紙に請求の原因に対する認否や被告の主張を記載します。

ただし、事実関係に争いが多く、法的な争点も多岐にわたるような場合には、裁判所の書式では書きにくいので、第１章の書式によるべきでしょう。

４章　答弁書の提出方法・送り方

答弁書を提出する際には、裁判所に正本を提出し、原告に副本を提出することになります。

答弁書の提出方法については、郵送・ＦＡＸ・持参の方法などがあります。

答弁書の副本については、裁判所から原告に送達されるわけではなく、被告から直接原告に送ることになります。

郵送の際には、レターパックライトなどを用いるといいでしょう。ＦＡＸについて、コンビニなどからでも送ることができます。

裁判所に送る際には、「第１回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」に担当部、住所やＦＡＸ番号が記載されていますので、そこに送ります。

原告に送る際には訴状に送達場所が記載されていますので、そこに送ります。

５章　答弁書の書き方についての注意点

答弁書の書き方については、いくつかの注意点があります。

答弁書は、被告が最初に提出する主張書面であり、訴訟において被告の立場を示すとても重要な書面になりますので、結果にも大きく影響していきます。

例えば、答弁書の書き方についての注意点としては、以下の４つがあります。

これらの注意点を順番に解消していきましょう。

５－１　注意点１：証拠や時系列との整合性に気を付ける

答弁書を書く際の注意点の１つ目は、証拠や時系列との整合性に気を付けることです。

訴訟では、少なからず、原告と被告との間で事実関係について認識が相違することになります。

その様な場合には、証拠や関連事実からどちらの主張が正しいのかが判断されることになります。

そのため、説得的な答弁書を作成するためには、時系列を整理したうえで、証拠に基づいて記載していくようにしましょう。

５－２　注意点２：自白が成立することもある

答弁書を書く際の注意点の２つ目は、自白が成立してしまうこともある点です。

自白が成立してしまうと、後からやはりその事実を争いたいと考えても争うことが難しくなってしまうことがあります。

また、あなたが自白している部分については、原告が証拠を提出していなくても、原告が主張するとおりの事実が認定されてしまうことになります。

そのため、請求原因の認否を適当に行ってしまい事実と異なる部分があるにもかかわらず、「認める」と認否してしまうと、不利な結果になってしまうこともあるのです。

５－３　注意点３：事実を特定して書く

答弁書を書く際の注意点の３つ目は、事実を特定して書くことです。

答弁書において事実関係を記載する際には、いつ、誰が、誰に対して、どこで、何をしたのかを具体的に特定して書きましょう。

事実が具体的に特定できていないと、いかなる事実を指しているのか裁判所に理解してもらえません。

また、記載が抽象的であるほど、被告からも、そのような事実はなかったと否認されやすくなってしまいます。

５－４　注意点４：感情論ではなく法律論を書く

答弁書を書く際の注意点の４つ目は、感情論ではなく法律論で書くことです。

裁判所は、法的に原告の請求が認められるかどうかを判断しますので、感情的な記載をしても、法的な根拠を伴わなければ説得することはできないためです。

あなたの主張を法律や判例に基づいて整理して記載しましょう。

例えば、あなたが「もう少し返済を待ってくれとお願いしているのに、いきなり訴訟を提起するなんて横暴である」などと反論しても、法的な反論にはなりません。

６章　答弁書の書き方についてよくある疑問

答弁書の書き方についてよくある疑問としては、以下の４つがあります。

それでは、これらの疑問について順番に解消していきましょう。

６－１　Q１：分割払いを希望したい場合の答弁書の書き方は？

A.答弁書の末尾に和解についての意向を記載しておくことが考えられます。

決まった書き方はありませんし、和解の意向について答弁書に記載しなければいけないわけではありません。

もっとも、請求自体に争いがないのであれば、和解の意向を記載しておくことで、裁判所からも和解の意向を確認する端緒としてもらえます。

「被告は、５０万円の支払いであれば和解に応じる準備がある。ただし、一括での支払いが難しく、５回の分割払いとされたい。」などの記載をすることが考えられます。

６－２　Q２：答弁書の封筒の書き方？

A.答弁書の封筒については、通常の書類を送る際の書き方と同じです。

レターパックライトであれば、「お届け先」の欄に宛先を記載して、「ご依頼主」の欄に自分の住所と名前を記載します。「品名」欄は書類としておきましょう。

６－３　Q３：答弁書の提出期限は？

A.答弁書の提出期限は、「第１回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」に記載されています。

「第１回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」は、裁判所から訴状が届いた際の封筒に一緒に入っています。

第１回期日の１週間程度前とされていることが多いです。

６－４　Q４：答弁書のおって主張するは時間稼ぎ？

A.答弁書の「おって主張する」というのは、「請求原因の認否」と「被告の主張」の準備をするのに必要な期間を待ってもらうための記載です。

時間稼ぎのような印象を受けてしまう方もいるかもしれませんが、焦って適当な主張をして不利な結果になってしまうより、よっぽどいいでしょう。

答弁書の提出期限は短いので、「おって主張する」として、後から認否や主張を行うことも決して不誠実なわけではありません。

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８章　まとめ

以上のとおり、今回は、答弁書の書き方について、自分で書く場合の簡単な記載例とテンプレート書式を解説しました。

この記事の要点を簡単にまとめると以下のとおりです。

この記事が答弁書の書き方が分からずに悩んでいる方の助けになれば幸いです。

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