
2025年5月2日
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2025/05/12
法律一般
弁護士の守秘義務について知りたいと悩んでいませんか?
法的な紛争に関する悩みはプライバシー性の高いものであり、誰にも知られたくないと考えるのは当然のことですよね。
弁護士の守秘義務とは、職務上知り得た秘密を他人に漏らしたり、利用したりしない義務のことです。
弁護士は、依頼者だけではなく、相談者や顧問先、過去の依頼者、組織内弁護士の雇用主に対して、守秘義務を負っています。
ただし、弁護士の守秘義務には例外があり、一定の場合には職務上知り得た情報を他に話すことが許されることがあります。
弁護士が守秘義務に違反した場合には、弁護士会からの懲戒処分、民事上の損害賠償請求、刑事上の罰則といったペナルティを科される可能性があります。
実は、弁護士は守秘義務がとても重要な義務であることを何度も指導されて実務に出ますので、うっかりと違反するようなことがないように細心の注意を払って仕事をしていることが通常です。
この記事をとおして、弁護士の守秘義務について分かりやすく説明していくことで、皆さんに安心して弁護士に相談していただければ幸いです。
今回は、弁護士の守秘義務はどこまでかを説明したうえで、守秘義務違反となる事例4つと例外3つを解説していきます。
具体的には、以下の流れで説明していきます。
この記事を読めば、弁護士には安心して悩みを打ち明けても良いということがよくわかるはずです。
目次
弁護士の守秘義務とは、職務上知り得た秘密を他人に漏らしたり、利用したりしない義務のことです。
法律相談では、家族や職場にも言えないような個人的な情報が語られます。
弁護士がその内容を口外してしまえば、相談者の信頼を裏切ることになり、弁護士制度の根幹が揺らいでしまいます。
例えば、離婚や借金、刑事事件などでは、非常にプライバシー性の高い内容が扱われます。
こうした情報が外部に漏れると、精神的なダメージを受けたり、社会的な不利益を被ったりするおそれがあります。
このため弁護士法や弁護士職務基本規程では、弁護士に厳格な守秘義務が課されており、依頼者や相談者が安心して悩みを打ち明けられるよう制度が整えられているのです。
弁護士の守秘義務の範囲はどこまでかについては、以下の4つの観点から整理できます。
守秘義務の内容を具体的に理解することで、相談者は安心して弁護士に話すことができ、また弁護士も適切に秘密を管理できます。
それでは、これらについて順番に説明していきます。
守秘義務は、現在弁護士として活動している人だけでなく、過去に弁護士であった人にも課されています。
つまり、登録を抹消した元弁護士であっても、在職中に知った秘密については引き続き守秘義務があるのです。
守秘義務の対象となる相手は、現在の依頼者に限られません。
初回相談だけで終わった人や、事件処理がすでに終了した元依頼者、継続的に法律アドバイスをしている顧問先なども含まれます。
さらに、企業内に勤務する組織内弁護士であれば、その勤務先(雇用主)に対しても守秘義務を負います。
このように、弁護士の守秘義務は広い範囲の相手に対して及びます。
弁護士が守らなければならない情報は、「職務上知り得た秘密」とされています。
これは、依頼者から聞いた相談内容や資料だけでなく、相談があったという事実や、相談者の氏名・住所・電話番号などの個人情報も含まれます。
また、ちょっとした雑談で知った事情でも、職務の一環として得たものであれば守秘の対象です。内容の重要性や深刻さにかかわらず、慎重に扱わなければなりません。
守秘義務は、一時的なものではなく、原則として無期限に継続します。
事件が解決したあとや、弁護士を引退したあとでも、過去に知り得た秘密は漏らしてはいけません。
この「時間に制限がない」という点は、弁護士がいかに強い信頼の上に職務を成り立たせているかを示しています。
守秘義務は、弁護士を辞めた後も一生ついて回る責任だといえます。
弁護士には厳格な守秘義務がありますが、一定の場合にはその義務が免除される例外が認められています。
すべてのケースで情報を絶対に守らなければならないとなると、かえって公正な判断や適切な対応ができない場面もあるためです。
例えば、弁護士の守秘義務の例外としては、以下の3つがあります。
それでは、これらの例外について順番に説明していきます。
本人が同意した場合には、弁護士は秘密を外部に開示することが認められます。
守秘義務は本人の利益を守るためのものなので、本人自身が開示を希望すれば、その趣旨に反しないからです。
例えば、トラブルの相手方に弁護士に依頼するに至った経緯を伝えてほしいと本人が希望した場合には、その情報を相手に共有することが可能です。
本人の意思が明確であれば、守秘義務に違反することなく対応することができます。
法律に明確な定めがある場合には、守秘義務よりも法令上の義務が優先されることがあります。
弁護士も法律に従って業務を行う必要があり、一定の場面では法の要請が守秘義務に勝るからです。
例えば、民事事件の証人尋問、刑事事件の押収や証人尋問については、拒むことができないこともあります。
このようなケースでは、守秘義務を守り続けることがかえって違法となるため、例外として認められています。
弁護士が自己防衛のため必要がある場合や公共の利益のために必要がある場合も、正当な理由があるとして守秘義務の例外となることがあります。
自己防衛のため必要がある場合というのは、弁護士自身が民事や刑事等の軽装の当事者となったり、懲戒手続に付されたりしたような場合です。
公共の利益のために必要がある場合とは、依頼者が殺人や重大な傷害を犯そうとするなど人命に関するような場合です、
弁護士が守秘義務に違反すると重大な問題となりますが、実際には「うっかり」や「意識不足」で違反とされるケースも少なくありません。
守秘義務は意図的な漏洩だけでなく、配慮のない行動や安易な発言でも問われるため、具体例を知っておくことが大切です。
例えば、弁護士が守秘義務違反となる事例としては、以下の4つがあります。
それでは、これらの事例について順番に説明していきます。
公共の場での通話や会話は、周囲に相談内容が聞こえてしまうおそれがあるため危険です。
どれだけ声を抑えていても、特定の情報が漏れれば守秘義務違反に問われかねません。
例えば、電車内で「◯◯の件、調停は月曜で…」と話した場合、当事者の関係者に聞かれている可能性があります。
守秘義務の観点では、外出先での通話や打合せは極力避けるべきです。
SNSやブログでの何気ない投稿でも、事案の特定につながるような情報を含んでいれば問題になります。
匿名や仮名であっても、地域や状況の描写が詳しければ、関係者に推測されてしまう可能性があります。
例えば、「若い経営者の方から先日こんな相談が…」と投稿した場合、地域の業界関係者には誰のことか伝わってしまうこともあります。
「ぼかして書いたつもり」が通用しないのが守秘義務です。
たとえ信頼している家族や友人であっても、依頼者の情報を話してはいけません。
守秘義務は「どこまで信頼できるか」ではなく、「誰にも話してはいけない」という原則に基づいています。身内だからという理由で漏らすことは許されません。
例えば、「最近こんな相談があって…」と、依頼者名を出さなくても状況や背景を話してしまえば、相手が関係者だったり、本人を特定できたりする可能性があります。
それだけで守秘義務違反と評価されるおそれがあります。
弁護士は職務上知り得た情報を、どれだけ親しい相手であっても口外してはならないという原則を常に意識して行動すべきです。
以前の事件で得た情報を、別の案件の依頼者に伝えたり、引き合いに出したりするのは守秘義務違反となります。
依頼者の許可なく過去の情報を開示することは、たとえ善意であっても守秘義務違反となるためです。
例えば、「以前似た相談で△△さんという方がいて…」と話してしまえば守秘義務違反となりますし、名前を出さない場合でも特定の事件内容への言及は避けるべきです。
弁護士が守秘義務に違反した場合には、ペナルティを科される可能性があります。
守秘義務は依頼者との信頼を土台とする弁護士業務の根幹であり、その信頼を損ねる行為には厳しい処分が必要とされるからです。
例えば、弁護士の守秘義務違反の代表的なペナルティとしては以下の3つがあります。
それでは、これらについて順番に説明していきます。
守秘義務に違反した弁護士は、弁護士会から懲戒処分を受けることがあります。
弁護士は、依頼者の秘密を守ることで信頼を得て活動できる職業です。その信頼を損なう行為には、厳しい対応が必要だからです。
例えば、依頼者の同意なく相談内容を外部に漏らしてしまった場合、「戒告」「業務停止」「退会命令」「除名」といった懲戒処分が科される可能性があります。
特に悪質なケースでは、弁護士資格の喪失につながることもあるのです。
守秘義務違反は、弁護士としての信用を一瞬で失う重大な行為と認識しなければなりません。
守秘義務違反によって依頼者や第三者に損害を与えた場合、損害賠償を請求されることがあります。
秘密が外部に漏れたことによって金銭的・精神的な損害が発生すれば、民法上の債務不履行や不法行為となりえるためです。
例えば、企業の内部情報が漏えいして取引先との信用を失い、損失が出たような場合、弁護士個人に数百万円以上の損害賠償が求められる可能性もあります。
弁護士にとって、秘密の管理は信頼だけでなく、法的責任にも直結する非常に重い義務です。
守秘義務違反が悪質な場合には、刑法上の犯罪として処罰されることもあります。
刑法134条1項は秘密漏示罪を定めているためです。
秘密漏示罪により有罪となった場合には、6か月以下の懲役又は10万円以下の罰金となる可能性があります。
弁護士の守秘義務についてよくある疑問としては以下の3つがあります。
これらの疑問について順番に解消していきましょう。
A:弁護士は、依頼者以外の情報についても、職務上知り得た場合は守秘義務の対象とされる可能性があります。
弁護士法23条の文言が依頼者に限定していないこと、依頼者以外の者であっても弁護士であることを信頼して秘密を開示することがあるためです。
ただし、依頼者の秘密に限定されない見解(非限定説)と依頼者の秘密に限定する見解(限定説)の双方があり、決着はついていません。
A:守秘義務は、弁護士の家族や友人、依頼者の家族や友人など、すべての「第三者」に対して適用されます。
「信頼できる人だから大丈夫」という考えではなく、「誰にも話してはならない」というのが守秘義務の基本だからです。
例えば、家族に相談内容を少しでも話すことは、たとえ善意でも守秘義務違反に該当します。
A:はい、無料相談でも守秘義務は適用されます。
相談が「正式な依頼」に至らなくても、弁護士が業務として対応した時点で守秘義務は発生するからです。
料金の有無にかかわらず、相談した時点で弁護士には守秘義務が生じますので、安心して話して大丈夫です。
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初回無料相談や電話・オンライン相談可能な弁護士であれば、少ない負担で気軽に相談をすることができます。
実際にあなたが相談したい分野の弁護士コンパスにアクセスし弁護士を探してみましょう。
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以上のとおり、今回は、弁護士の守秘義務はどこまでかを説明したうえで、守秘義務違反となる事例4つと例外3つを解説しました。
この記事の内容を簡単にまとめると以下のとおりです。
この記事が弁護士の守秘義務について知りたいと悩んでいる方の助けになれば幸いです。
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